終了・報告

【報告レポート】スウプノフィールドワーク | 「わくわくダンス」【宮城県障害者福祉センター/NPO法人アートワークショップすんぷちょ】

開催日
2022年11月20日(日)
時間
10:30~13:00
場所
宮城県障害者福祉センター3階大会議室

わくわくダンスに体験参加させていただきました。
わくわくダンスは、「無理に おどらなくても だいじょうぶ。 無理に みんなと同じようにしなくても だいじょうぶ。」をキャッチコピーに、障害があってもなくても、赤ちゃんからおとなまで楽しめるダンスワークショップです。
(共催:宮城県障害者福祉センター、NPO法人アートワークショップすんぷちょ)

震災年(2011年)にはじまった活動で、今に至る。現在、登録者数は50名近くおり、とても人気のある活動で、メンバー構成はさまざまです。関わる人を増やすために、4年前からいろんな人がファシリテーターを担当し、「舞踏」「表現」「芸能」それぞれのプロが入るようにしています。また、定着を図るために毎月第3日曜と決めて活動し、「この日にはダンスがある」という楽しみを持ってもらうことを大事にしているようです。

無理におどらなくてもだいじょうぶ。無理にみんなと同じようにしなくてもだいじょうぶ

開始前、椅子が用意されており、すでに集まってわいわいと楽しそうな様子があり、さまざまな年齢層の方々が、雑談したり、座ったり、フレンドリーに話しかけてくれたりしました。

開始時間がくると、スタッフから簡単に諸注意があり、雰囲気が固くならないように柔らかく伝えていました。

ファシリテーターに代わり、ウォーミングアップがはじまります。参加者は、ゆっくり自分たちのペースで行っていました。

①顔を動かす:にっこり、びっくり、左右にっこり、好きな顔、の繰り返し、カホンにあわせてみんなで。
②身体を動かす:肩回し、左右、肩上げ下げ、鎖骨マッサージ、隣の人にそっと触る、まねっこ、深呼吸


椅子を片付けて、いよいよみんなで動き回ります。
①歩く、出会ってタッチ、ワニのまねで出会ってがぶり、など他者とのかかわり。
②歩く、肩回す、肩上げ下げ、手をあげてヒラヒラ、手刀で切る、などの動きをカホンに合わせて付け加えたりしながら、リズム良く歩き回る。
③ラストはカホンの音だけで、音に動きを合わせる。

ファシリテーターの指示通りの動きにならなくても、それぞれの振り付けが見えて、リズムにのりながらとても楽しんでいる様子でした。
また、指示の理解が難しい方も、自分のタイミングで参加していました。指示が理解できているということが大事なのではなく、みんなと一緒にいる心地良さそうな表情が印象的でした。

最後は、参加者それぞれが好きなCDを持ってきて、自分なりに踊りたいように踊る時間でした。
曲がかかると、参加者はステージに上がったり、ブレイクダンスやフロアでパフォーマンスしたり、座席で拍手したりするなどして楽しんでいました。
メンバー同士で教え合ったり、お願いしあったりしていて、とにかく楽しそうでした。
(かなりの盛り上がりでしたが、この日はそれでも大人しい方だったそうです)

意見交換会

わくわくダンス終了後、宮城県障害者福祉センターのスタッフ、NPO法人アートワークショップすんぷちょのスタッフやファシリテーターにお話をお伺いしました。

センターのスタッフからは「この活動はとてもみんなが楽しみにしていて、本当に必要な場だと感じている。「自発的な学び」と「与えられる学び」があるが、ここではみんなが勝手に何かを覚えてくれる。(支援者側が)余計なことをしないから、みんなが覚えたり、みんながやるようになっているのだと思う。自己主張できる場、余計なことをしない場になっている。」という声が聞けました。
また、ファシリテーターからはレクチャーとワークショップとの違いについて、「講師は相手を見て話す。ファシリテーターは相手が見ているものを一緒に見る。」という言葉が聞けました。

最後にいろいろな話題で話し合い、次のような意見がありました。
◆障害のある人の場が広がるためは?
・一般の場が開かれたとしても、そこに行くハードルがある。(宮城県障害者福祉センターを指して)まずはこうした安心できる場を拠点に、関心のある人が来られるようにしていくことも大事だと思う。障害のある人との活動、というと構えてしまう人が多い。障害のある人が安心して活動している場を、まず見てほしい。ここでは何もしていない。なにも気を遣っていない。というところを見てほしい。
・児童館に来ていた障害のある子が、大人になって就労したら「出かけることができない」と嘆いていた。大人になった途端、遊び場がなくなってしまうことを痛感している。

◆自由度、自立、移動、意思決定について
・自分で情報をとっていろんなところに参加している人もいる。一方で、制限されたり、移動ができない、自分で決めてもできないというハードルはある。
・何かを決めるときに、「職員に言ってね」「お父さんに言ってね」とか言いがちだが、本当は「相談のしかた」を知って、大人になってほしい。「こういうふうに決めたんだけどどう?」という相談のしかた。決めるのは相手、という態度は大事。
・保護者がいろいろ手をかけてしまい、できない人になっていることもある。身体表現だからこそ、自分の意思が見える。ここで何もしない、あるいはここでは自己主張、親が見ていない方がいいこともあるかも。

◆学びとは?大事にしていることは?
・感動体験だと思う。感情が動く、自分自身の感情が揺さぶられることが体験。自分自身で味わうこと、自分が感じることが、学ぶということ。たとえ危険だったり失敗したりすることが分かっていても、代わりにやってあげないことが大事だと思う。
・演劇教育、とかワークショップ、とか、なにかすごいものを持っている人が教えてあげるというイメージではない。だめな大人、そのままの大人、それをありのまま出すことで周りが、自分で動くようになる。わからないことをわからないから、子どもが自分で調べようとする、探究することを助ける、引き出す、手助けすること、興味を広げること。

記録:櫻井育子
レポート編集:伊藤光栄

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