終了・報告

【報告レポート】スウプノフィールドワーク | 「iPhone・iPadサロン」【障害者地域活動推進センターきりん】

開催日
2022年10月06日(木)
時間
10:00~12:40
場所
ウェルポートせんだい2階 研究室1

今回は、見えない人・見えにくい人を対象にiPhone・iPadのスキルを学ぶ講座「iPhone・iPadサロン」を訪問しました。
iPhoneには「アクセシビリティ機能」という障害のニーズに応じて便利な機能が搭載されており、これを使いながらカメラや文字入力などのiPhoneのスキルを学ぶ講座で、障害者地域活動推進センターきりんが開催しています。

障害者地域活動推進センターきりんは、NPO法人アイサポート仙台により運営されています。アイサポート仙台は、中途視覚障害者の地域生活を支えるために総合的な支援が必要となったことを発端としており、『視覚障害者が自分の望む場所で自立的に生活し、社会のイチ員としていきいきと役割を担っていくことができるように地域での生活やリハビリテーションを支援することを目的に』設立されました。主に、仙台市視覚障害者支援センター、障害者地域活動推進センターきりん、相談支援事業所さいぽす仙台を運営しています。

障害者地域活動推進センターきりんは、平日、視覚に障害のある人が地域でいきいきと生活できるように、自立の促進、生活の質の向上等を図ることを目的とし、プログラムの企画をしています。今回訪問した「iPhone・iPadサロン」も、そのプログラムのひとつです。

ハロウィンかぼちゃの写真を撮ってメールで送ろう!

自己紹介からはじまりました。名前だけでなく、近況もまじえながら、自己紹介ごとに会話がはずみます。
講師の堀内さんは、自身が視覚障害のある当事者ですが、VoiceOverを使いながらiPhoneの様々な機能をつかいこなし、みなさんに丁寧に使い方を教えてくれます。

自己紹介が終わると、iPhone・iPad講座が、「初級」「上級」の2グループに分かれて始まりました。

「初級」では、終わりまでスタッフやボランティアがマンツーマンでiPhoneのバリアフリー機能のVoiceOverの使い方を説明します。基本的には、参加者の知りたいことを説明していく方法で、順番を1ステップごとに確認しながら丁寧にすすめていました。

・参考:iPhoneでVoiceOverをオンにして練習する | Apple(リンク)


「上級」では、講師の堀内さんと一緒にその日の課題に向けてiPhoneの機能を練習します。
この日は、ハロウィンが近いということで、かぼちゃの写真を撮ってメールで送信する、という課題でした。

まずは、堀内さんからiPhoneのアップデート情報について紹介があります。アップデートによって操作方法が変わることがあるので、この情報は必要とのことです。

次に課題をクリアするために、機能の練習がはじまります。

①写真撮影(対象物:かぼちゃ)
ひとりずつ練習していきました。その間、待っている人は、カメラの起動や他の操作の練習をしたりしています。
スタッフが一人ひとり、参加者の前に対象物を置きながら、ゆっくりレクチャーします。
見えない・見えにくいことからくる伝わらなさ、操作のむずかしさがあるため、指示や助言は正確にわかりやすく伝えていました。

②メールでスタッフへ送信
メールアドレスとメッセージ、写真の添付を行いますが、ここでもわからないことは気軽に講師やスタッフに聞くことができる雰囲気がつくられていました。
(終了後、スタッフから写真に対するメールの返信をしてもらえるそうでした!)

最後に、おわりの挨拶をして解散となります。

情報交換会

今回は、仙台市の市民センター職員も参加し、質疑応答の形でアイサポート仙台ときりんのスタッフ、講師にお話を伺いました。

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Q:スウプノフィールドワーク参加者からの質問
A:アイサポート仙台ときりんのスタッフ、講師からの回答
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Q.参加者の状況は?
A.定着している人は多いが、やめていく人もいる。利用者で月1~10回と利用回数の幅は広い。

Q.他にもこのような教室はあるか?
A.宮城県視覚障害者情報センターにもiPhone・iPad操作の講座がある
・参考:宮城県視覚障害者情報センター
http://www.miyagi-sikaku.org/

Q.企業や専門家の協力はあるか?
A.企業との関係はないが、地域にいる講師へお願いしている。

Q.他にもどんな内容の講座をしてきたか?
A.文字打ちの練習、写真の撮影、他のアプリの操作などをしてきた。写真の撮影は講師のアイデアで、家族と共有したり、思い出に残したり、といったことができる。技術が発達したことで、写真の読み上げ機能が強化され、(見えない・見えにくい人の)楽しみが増えている。

Q.初めての参加者が、会場にくるまでの対応をどうしているか?
A.地下鉄に乗れる人は、駅まで迎えに行くなどして、対応している。そして、ルートを覚えてもらい、ひとりでも来ることができるようにしてもらっている。

Q.見えない・見えにくい人による市民センターの利用で何か気になる点はないか?
A.①場所によってはヘルプが必要で、初めての場所では、机の片付けやトイレの利用など気をつけることが多い。②利用登録のむずかしさがある。③職員の対応は、事前に伝えておくことで対応してもらえるが、突然の場合は対応が難しいこともある。

Q.市民センターとの連携について何かやってほしいことは?
A.
・(市民センターの運営に)当事者の意見を取り入れていく必要があると思う。
・普段の講座で障害のある人も参加できるというような情報を提示してほしい。どのくらいサポートが必要です、などということが言いにくく、参加しづらい現状がある。

レポート:伊藤光栄(NPO法人エイブル・アート・ジャパン)

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