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終了・報告

【報告】SOUPの研修2022 第1回・第2回

開催日
第1回「暮らしの市 夏 出店してみた!マーケティング編」
日時:2022 年 8 月 3 日(水) 15:00〜17:00

第2回「暮らしの市 秋 出店してみよう!商品提案編」
日時:2022 年 9 月 7 日(水) 15:00〜17:00
講師
講師:柊伸江(株式会社ダブディビ・デザイン代表取締役)
オブザーバー:松山隼(塩竈市杉村惇美術館 学芸員)
場所
〒980-8546 宮城県仙台市青葉区一番町 3-11-15 仙台フォーラス 7 階
エイブル・アート・ジャパン東北事務局
※対面とオンライン併用で実施
テーマ
SOUPでは、アートを通じた商品開発を行う福祉施設などと勉強会を重ね、一般の催事やイベント、文化施設での販売に力を入れてきました。例えば、せんだいクラシックフェスティバル、せんだいメディアテーク、八木山動物公園Fujisaki Dayにあわせたポップアップショップです。
その場所に集うお客さまの年代、性別、趣向、などを事前にリサーチし、そこに合った商品を提案しています。回を重ねるごとに、参加施設の商品力はあがり、結果として売上もあがってきました。2022年度は、塩竈市杉村惇美術館が実施する「暮らしの市 夏・秋」を舞台にしながら、「アートを生かした商品開発と販売」に関する実際のノウハウを学んでいきましょう。

第1回は、アートを生かした商品や雑貨で実績を積んだ福祉施設や団体が、実際に「暮らしの市 夏」に出展してみて、どんな成果と課題を得たかを紹介しながら、講師によるマーケティングの視点を学びます。

第2回は、実際に「暮らしの市 秋」に出展する商品案をプレゼンテーションしてみましょう。講師と、塩竈市杉村惇美術館「暮らしの市」担当 学芸員の講評つきです。

第1回「暮らしの市 夏 出店してみた!マーケティング編」

■参加者
会場:7人
オンライン:16人

■当日の流れ
14:45 開場および Zoom 開設
15:00-15:10 研修の目的・運営スタッフ紹介、講師・ゲスト紹介
15:10-15:50 講師よりマーケティング概論
15:50-16:15 「暮らしの市 夏」の概要及び売上データ
16:15-16:20 次回への課題
16:20-16:50 「暮らしの市 秋」のペルソナを考える
16:50-17:00 アンケート記入願・その他の告知

■概要
主な参加者は宮城県内の福祉施設の方々で、「アートを生かした商品を製作、販売しているが新商品の開発や見せ方を学びたい」「これからアート作品を展開していきたいので、そのための知識と情報を得たい」といった具体的な学びを求めて参加されていました。
また、障害のあるお子さんの作品を商品化したいというご家族の参加もありました。
前半は、講師の柊さんよりスライドを交えて「マーケティング概論」の講義でした。
講義の内容は、マーケティングの概念、歴史、仕組み、プロセス、調査、分析といった「マーケティングの基礎」と、今回のテーマである「暮らしの市」出展に際し最も重要な「ペルソナ」について学びました。
例えば:
・マーケティング分野における「ペルソナ」とは、企業が提案する製品、サービスにとって最も重要で象徴的な顧客モデル。
・ペルソナマーケティングとは、ペルソナを用いて具体的なユーザー情報を分析し、施策に反映させるマーケティング手法。
・ペルソナを設定するメリットとして、目標(ゴール)をチームで共有できる。⇒顧客視点を考えられる⇒効率が上がる。
・ペルソナの説明と共に、柊さんから実際の商品開発で使用したペルソナが紹介。

研修(現地会場)の様子

後半は、柊さんの講義を元に具体的な「暮らしの市」における経過の報告です。エイブル・アート・ジャパンからは、2022年7月に宮城県内の福祉施設、団体で「ひだまりのギフト展」というショップ名で共同出展した「暮らしの市 夏」の概要説明と、売上データを報告。食品担当としてコッペ 飯嶋さん、雑貨担当としてアート・インクルージョン 佐々木さんからは、イベントの様子やお客様の印象、販売傾向を発表しました。
また、暮らしの市の主催者である塩竈市杉村惇美術館の松山さんよりイベントのコンセプトや出店のセレクト、場づくりについてお話がありました。その中で「ひだまりのギフト展」に並んだ商品の、デザイン性の高さ、コンセプト(イベント会場が塩釜市ということで、海にちなんだモチーフやデザインの雑貨や、アップサイクル商品)についてお褒めの言葉をいただきました。
その後、SOUPの研修第2回へ向けて、「暮らしの市 秋」のペルソナ設定と、それに基づいた商品提案の課題が出されました。
「暮らしの市 秋」への出展を希望する、しない、実際に商品を作る、作らないに関わらず、マーケティング概論の振り返りとペルソナ作り、考え方の練習をゴールとして、ぜひ取り組んで欲しい。また、出展を希望する場合、商品の力やメッセージ性、売り場との相性をみてセレクトさせていただく旨、事務局よりご案内しました。
課題のペルソナ設定については、夏の出展の際、来場者の年齢、性別、服装、同伴者など詳細に観察し、細やかな情報収集ができていたため、その資料を参考にするよう柊さんよりアドバイスをいただきました。

「暮らしの市 夏」出展の様子

■アンケート
Q. 研修のなかでもっとも大きかった学びの視点はどんなことでしたか。
・マーケティング概論、「ペルソナ」を意識すること。販売は一方通行でない。
・「たった一人」の方が大満足して頂ける商品があっても良いなと思いました。
・ご縁と対話。資料をいただいた時点では、ペルソナを絞るのは無理と感じていたのに、研修を受ける中で1人の女性が浮かび上がって来ました。たくさんの事業所で働くみなさんの思い。立ち寄ってしまったお客さまとの優しい対話。これが武器になると思いました。
・学芸員さんのお声がとてもためになりました。
・マーケティングも時代と共に変化していて、10年前とも求められる価値が違うところに変化の速さを感じ驚きました。
・ペルソナマーケティング。ターゲット設定は行っていましたがペルソナ設定はなるほど。と思いました。
・ターゲットの設定や、デザインの必要性、ブースの展開等、今まで考えていなかった視点を学ばせて頂き、大変勉強になりました。
・マーケティングについて理解を深めることができました。いかにマッチングするか…が重要だと感じました。福祉系のイベントだけでなく、暮らしの市のような市場との繋がりが増えると良いなぁと思いました。

Q.研修での学びを具体的に生かそうと考えていることがあればおしえてください。
・現地のお客様と雰囲気に合うような商品を開発、ブラッシュアップ
・分析、ペルソナ
・アップリサイクルを生かした商品開発や生活雑貨の需要が増えているなど勉強になった。提案だけでもしてみたい。
・事業所独自のアートグッズ開発、がんばっていきたい。利用者さんのアートの味を活かした商品で、かつ売れるものとは?
・商品開発時に、より多くの方に好まれる商品作りが主になってしまいがちですが、たまには一部の方向けの商品があっても良いと思いました。また、ペルソナを意識した商品作りも行っていこうと思いました。
・すてきな衣食住を提案できるように、作品のように特別で語ることの多い商品が作れたら良いな、と思いました。アップサイクル関係でなにか新しい商品が作れたらいいな、と思っています。
また、アートをプリントした商品を諦めたくないので、ペルソナに合わせたアート、テクスチャがあったり、味わいのあるカラーの作品をセレクトして商品を作れたら良いな、とも思いました。
・普段、仙台市内の区役所様にて、利用者の皆さんと販売させて頂いておりまして、早速次回の販売より、お客様へコミュニケーションをとらせて頂きながらプロモーションをはかりつつ、お客様に興味を持って頂けるようなブース展開に取り組みたいと思います。
・自然環境のことや、手作りが楽しいと思える感覚を伝えられる商品ができるといいなと思いました。

第2回「暮らしの市 秋 出店してみよう!商品提案編」

■参加者
会場:4人
オンライン:8人

■当日の流れ
14:45 開場および Zoom 開設
15:00-15:05 研修の目的・運営スタッフ紹介、講師・ゲスト紹介
15:05-15:10 宿題の主旨と一言
15:10-16:15 「暮らしの市・秋」の商品提案
16:15-16:40 総評と質疑応答
16:40-16:50 事務局からの連絡
16:50-17:00 アンケート記入願・その他の告知

■概要
第1回で課題として出題された「暮らしの市・秋に向けた商品提案」として、10の福祉施設が商品提案を発表。講師の柊さん、塩竈市杉村惇美術館 松山さんによる講評をいただきました。
ペルソナのライフスタイルや趣味嗜好に合わせるだけでなく、素材へのこだわり、環境への配慮、障害のある人の表現に合わせて商品のデザインを考えていくなど、作り手それぞれが大切にしている思いや物語を感じさせる商品ばかりで、どの施設も暮らしの市出展に向けて、意欲的に課題に取り組んだことが伺えました。

商品提案の発表の様子


「暮らしの市 秋」会場の塩竈市杉村惇美術館




「暮らしの市 秋」出展の様子

■アンケート
Q.研修のなかでもっとも大きかった学びの視点はどんなことでしたか。
・ペルソナを設定して商品を企画することの大切さ。
・価格設定について。
・実際に講評頂けたこと。もっとこうした方が良い、をプロの視点から頂けて勉強になった。
・初歩的過ぎますが、お客様の立場になってものをつくる。みせる。
・商品の機能、価値、市場の動向など、具体的に考えることが様々にあることを学びました。
・商品の価値を伝えるための説明の難しさ
・商品を開発・展開する際、ペルソナを用いて、コンセプトなどを考えるという視点が、大変勉強になりました。
・他の事業所の商品説明を聞いて、ペルソナから考えた商品は本当に暮らしの市で売れそうと思いました。ペルソナを考える事がいかに重要か学びました。また、ペルソナからクッキーを作るのは難しいかと考えていたのですが、クッキー自体ではなく、ペルソナを考えてイベント毎にセット等を作れるのではないかという新しい発見がありました。

Q.研修での学びを具体的に生かそうと考えていることがあればおしえてください。
・商品名を改めて考えること、使い方、注意書きにも力を入れてパッケージデザインしたいなとおもっています。
・商品化の実現を必ず達成したい。
・販売イベントに出展し、商品化そのものだけでなく、出展販売時のノウハウを実践できるようになりたい。
・品質表示と、価格について見直す。
・商品を売ることを中心としないで体験を売ることも検討したい。
・その商品が持つ価値をどのように伝えて購入につなげるか
・食品に関しては、商品になるまで時間がかかる事もあり、ピンポイントでの商品開発は難しいかと思っていましたが、食品の購買につながる商品紹介シートや、ショップカードのようなもの、雑貨は、イベント毎にペルソナから考えて作っても良いのではないかと思いました。また、セットも考えていきたいです。

まとめ〜暮らしの市・秋への出展を終えて

商品提案を提出した団体は10団体、「暮らしの市・秋」への出展は8団体となりました。
実際に商品化し販売に向けて在庫を揃えるまで、約2ヶ月という短い期間でしたが、どの団体も試行錯誤を重ね、クオリティの高い新商品が完成しました。
途中、包装方法やアイテムの組み合わせなど、出展者同士でアイディアやアドバイスを出し合いながら、共同出展として魅力的な品揃えを目指しました。
売上については、買い控えの傾向にあるのか、残念ながら目標売上(2日間で20万円)には届かなかったものの、食品はセット販売の品、雑貨はバッグなどが人気で、夏の出展よりも高単価の商品が多く売れていました。このことからも、研修で学んだペルソナ設定により、魅力的な一般市場(販売会)で、一定の成果を出せたと考えています。
さらに、ペルソナ作りのために対面販売のなかで情報収集を活発に行い、改めて、対話の大切さも感じました。イメージだけに頼らず、相手の立場に立つことで、こちらの思いや商品の価値も伝わるのではないでしょうか。

(レポート:伊藤いづみ)

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