終了・報告

展示会のひらき方に関する研修 実践!「伝える力の1・2・3!」報告

開催日
2019年12月05日(木)
時間
10:00~12:00
場所
せんだいメディアテーク7階会議室a
講師
渡邉竜也さん(グラフィックデザイナー)

障害者芸術活動支援センター@宮城 研修報告

参加者は19名(講師・運営スタッフ4人含)で、福祉関係の方々が集まり、展示会や活動拠点の紹介を伝えるときに大切なコツとその考え方を学びました。

まず始めに、講師の渡邉さんの自己紹介があり、これまで活動してきた作品を見ながらデザインによる伝え方のお話がありました。
『なにを伝えたいか』『なにをみせたいか』が大きなポイントとなるとお話がありました。
そのためには、例えば展示会のキャプションについても何を記載すべきかが大切になってきます。作家名やタイトルだけではなく、どのように作品が生まれたのか、作家はどのような人物かなど、芸術活動の背景を伝えることも1つのポイントだと学びました。
また、展示会だけではなく、福祉事業所で製作販売している商品のパッケージも同様に、伝えたいこと・みせたいものに寄り添ってデザインする大切さを教えていただきました。

休憩を挟んだ後半は、1グループ3~4名の合計4グループによるワークショップ形式で始まりました。ワークショップの内容は“作家3名による展示会のチラシを20分でデザインしてみよう”というもの。統一して決めることは、タイトル・キャッチコピー・概要テキスト・チラシレイアウトの計4つです。日本財団が発行しているメディア情報誌を資料とし、そこに掲載している作家の中から講師が選んだ3名の作家作品情報を使用しチラシをデザインしていきます。
それぞれのグループはまず簡単な自己紹介から始まりました。普段の活動内容を紹介し合い、会場が賑やかになったのも束の間、その後は一気に集中モードとなり静寂な時間が過ぎること5分。徐々にポツポツと会話が始まるグループもあれば、静かに読み込むグループ、作品部分を切り取ってレイアウトを始めるグループもありました。作品の様子から読み取ったり、掲載記事の中からヒントを得たり、それぞれが何を感じたかをグループ内で時間ギリギリまで話し合っていました。

ワークショップ終了後はグループによる発表がありました。



まずAチームは、3名の作家作品に共通する表現や色、開催時期からタイトルやキャッチコピーを考え、そこから連想するイラストを描いて表紙を作成し、裏面は作品と作家プロフィールを合わせて伝わりやすくレイアウトしました。



Bチームは、“縁を結ぶ”をキーワードに、作家3名の個性が広がる思いをこめてタイトルやキャッチコピーを考え、開催時期に合わせた季節の花を表紙に描きました。



Cチームは、伝えたいコンセプトを3名の作家による制作背景とし、斬新で面白い世界観に出会って欲しいという思いをこめて概要を考えました。裏面はどんな作品、どんな手法なのかを伝える内容にしました。



Dチームは、3名の作家に共通する部分は、日々作品を制作することも実験で、通過点でありまだ先もあると感じたことからタイトルを考えました。また、展示会に何度も足を運ぶことにより感じ方も変わってくる楽しみを伝えるサブタイトルもつけました。

研修会を通し、作品の色や形、感じたイメージなど自分が素直に受け取った感性を大切にしながら、展示会ではどのようなメッセージを伝えるか、作品をより伝えるためにはどうすべきかを学ぶ機会となりました。

参加者のアンケートを一部抜粋し紹介します。
・短時間で3人の初見の作品・作家の展示会フライヤ作成は難しかったが、グループメンバー各々の言葉や文言を拾い完成できた。「“初めての作品”を紹介するのはムリ…」と思ったが、講師渡邉さんやスタッフの皆さんの話を聴くうち、展示会のフライヤは「初めて観る人を対象にしたものである」という事を改めて意識でき、「客観的」という事の大切さを感じました。イメージや推しポイントが沢山あっても、フライヤをパット見てわからなければ注目してもらえない。わかりやすい言葉やレイアウトを心がける事を意識させられました。
・客観的に物をみる、想いを表現する視点の大切さ、思い、イメージの出し合いの大切さを改めて感じ入りました。
・チラシを1つつくるのにも、いろいろな工夫や手法があるということがわかりました。てきとうにつくるのではなく、しっかり考えてつくることが大切だとわかりました。
・伝える際に何らかの形で「まとめる」(時間的にも、言葉でも)ことが必要だと思いつつ、多様に開かれた何にものアーティストの作品を「まとめる」ここの難しさを感じました。
・今までの広報誌等を作成する中で、自分では気付かなかった視点、考え方など知ることができて大変勉強になった。施設の中ではなかなか得られない視点や考え方だったので、今後に是非活かしていきたいと思う。
・今回時間のあまりないなかでアイディアを出したり、伝わるように概要を考えたりすることを体験できました。世の中には、あふれるほどに情報があり、そのなかでお客様にお越し頂いたり、目に留めていただくにはこのスピード感はとても大切だと思います。
・グループの協力してくれる方々のアイデアを聞くことができ、自分が考える(アイデアを出す)助けになりました。

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