終了・報告

《 SHIRO Atelier&Studio 》スタジオ編・プログラムB[報告レポート]

開催日
2019年01月20日(日)
時間
14:00~17:00(16:00以降は茶話会)
場所
せんだい演劇工房10-BOX box-5
講師
本田椋(俳優・劇団 短距離男道ミサイル 代表)

仙台市の文化施設を活用した定期的なスタジオ事業を開催しました。
ダンスをしてみたいな、演劇の活動にふれてみたいな、関心をもつ仲間と出会う機会がほしいな、障害のある人との表現活動に参加してみたいな、など障害のあるなしに関わらず、どなたでも参加できるプログラムです。
12月1日に実施されたプログラムAに引き続き、1月20日に開催されたプログラムB「かんじる、えんじる」の報告レポートです。

==========================
プログラムB「かんじる、えんじる」
1月20日、第2回目のスタジオ編が、せんだい演劇工房10-BOXで開催されました。今回ファシリテータを務めるのは、仙台を中心に活躍しておられる俳優の本田椋さんです。今回は俳優が演じる際に大切にしていることをテーマに、参加者と試行錯誤していきます。

参加者は、仙台市内の方のみならず、県南からいらっしゃった方々も多数。普段から体を動かす活動をされている方から、あまりそうした活動に参加したことない方まで、幅広いメンバーで、親子での参加が多い印象でした。
導入は、簡単なストレッチ、ウォーミングアップで身体の感覚を開いていくところから始まります。誰かが行う動きを真似て、身体をほぐしていきます。
本田さんの合図で、素早くみんなで「円」を作ります。
まずは、車座だった状態から、全員で一つの円をつくります。次はもっと素早く、スローモーションで、目をつぶって、、、等、様々なバリエーションで円をつくっていきます。進めていくうちに、ひとつの円が複数の円になったり、いびつな形をしていたり、と様々な形に広がっていきました。

身体をほぐした後、本田さんは唐突に“梅干し”を取り出しました。
梅干しと演劇、どのような関係性があるのでしょうか。一同、不思議に思いながらも梅干しを食べてみます。やはり「酸っぱい!」という声が上がります。
この「酸っぱい」という感覚を、自身の身体で再現してみます。
具体的には、梅干しを食べるフリをしてみるというもの。フリをするといっても、酸っぱいような顔をする、といったものではありません。
まずは、梅干しの味を思い出します。口にいれたときの感触、歯ごたえ、酸味、、、。自分自身の感覚を想起させ、そのとき自分の体がどんな感覚だったのか、その感覚によって身体にどのような影響があったのか、丁寧に確認していきます。
その時の酸っぱさを想像することで、身体そのものに変化が出てきます。唾液が多く分泌されるのは勿論、人によっては身体のどこかが緊張したり、様々な身体の反応があります。
「想像すること」が、現実の身体に深く影響をもたらすことを体験しました。

次に本田さんが取り出したのは、「すごく酸っぱい海外の梅干し」を称するもの。
参加者はおそるおそる口にしてみると、一同、不思議な顔に。
実際食べたのは、「酸っぱい」梅干ではなく、苺のドライフルーツでした。
ここでは、「想像すること」と現実が乖離していた時に起こる身体の反応を確認することを試みました。「酸っぱい」という感覚の状態で、実際には甘いものを食べると、ニュートラルな状態で食べる時よりも甘く感じるようです。また、酸っぱいと思い込んでた参加者の中には、実際には甘いものも、「酸っぱい」感覚になってしまった参加者もいました。
個々人でのリアクションは異なりますが、「想像」が実際の身体に変化をもたらしていることを確認できました。
次に、「誰が梅干しを食べているか」を当てるゲームをしてみます。
梅干しを食べる人を1人だけ決め(他は苺を食べる)、それを知らない回答者が当てるゲームです。食べている人たちが、どのような反応をしているか注目しながら、当てていきます。回答者は、何故そう思ったのかも、言葉にして確認します。

次は、想像上のものを受けわたすことをしてみます。特に言葉にはせず、隣の参加者に「何か」を渡していきます。途中で大きくなったり、重くなったり、渡す側と受け取る側によって様々な変化が起こりました。ここでは、想像したことを共有することを軸に、身体で遊ぶことができました。

今回は、本田さんを案内役として、「演じる」ことを軸に様々な活動に挑戦しました。
本田さんは、「自身の発信すること」と「周りをきくこと」を意識することが大切であると言います。
参加者からは、「ハンディキャップがあっても楽しめ、発想力を広げられる時間だった」「自身が想像することで、日常が変わる」「普段意識しない部分を使った」「職場でもやってみたい」等、様々な感想が寄せられました。

「想像することで、現実が変わること。それがお芝居の面白いところ」と本田さんは語ります。「かんじる」ことは、フィクションである「えんじる」ことを、本当のことにしてくれるのかもしれません。

バナー:障害者芸術文化活動普及支援事業(厚生労働省)
バナー:ABLE ART JAPAN
バナー:Able Art Company