終了・報告

【SOUP STAGE「ミクストジャーニー」報告レポート】ご来場ありがとうございました

場所
青葉の風テラス(仙台市営地下鉄東西線国際センター駅2階)
日 時
2018年2月17日(土)・18日(日)
開演14:30 (開場14:00)

SOUP STAGE「ミクストジャーニー」

SOUP STAGE「ミクストジャーニー」
満員御礼!ご来場いただき、誠にありがとうございました。





来場者数:延べ140人


SOUP は 2017 年度より、身体表現のプログラム「舞台をつくる SOUPSTAGE」をスタートしました。
そして、宮城県内 3 地域 ( 登米市、仙台市、大河原町 ) をめぐって、それぞれの身体を知る「身体で表現してみよう !」と、ものづくりで舞台に参加する「舞台美術をつくろう !」という2つのワークショップを重ねてきました。今回はそこで出会った人たちとともに、ひとつの舞台SOUP STAGE『ミクストジャーニー』をつくりあげました。

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9月から始まった「身体で表現してみよう !」のワークショップは、振付家・ダンサーの磯島未来さんと
ともに3地域をめぐりました。
県北は登米市の児童デイサービス「奏海の杜」の子どもたちを中心に一般の参加者が加わりました。
振付や動きが決まっていないダンスをするのは初めてというみなさんが、子どもたちは素直に身体を動かすことを楽しみ、時間を重ねるごとにスタッフもともにダンスにはまっていく様子が見られました。
仙台市はせんだい演劇工房10-BOXを会場に、過去のSOUPの身体表現ワークショップに参加してきた人たちや作家活動をしている人や舞台に立つ経験がある人が集まりました。こちらは表現することを丁寧に一つの動きをじっくり表現するメンバー。こちらには即興音楽家の山路智恵子さんも加わり、音を楽しむ参加者もいました。
県南は大河原町のえずこホール(仙南芸術文化センター)の協力を得てダンスサークルのメンバーや演劇ワークショップに参加しているシニア層から支援学校に通う子どもたちまで、一番幅広い層の人びとが集まりました。毎回参加者が多く賑わいのある現場でした。えずこホールを中心に地域の人びとが文化に触れてきた素地を感じたと同時に、新たに障害のある人の表現活動について、この地域でのニーズを強く感じました。

各地域3回のワークショップを経て、参加者の中から2月の公演に出演したい人たちが県南から4名、仙台市から8名集まり11月末から仙台での本作品のクリエーションが始まりました。
様々なワークを通して、一人ひとりがどんなダンスを立ち上げられるか、試行錯誤の稽古が続きました。一つの舞台作品として、自分がその場で何をできるのか、それぞれ抱えているものを乗り越えたらどんな世界が見えるのか自分と向き合い、まわりの人や場を感じ、身体を通して表現するチャレンジが続きました。




“「ジャーニー」というトラベルでもトリップでもなくこの言葉を選んだのには、この先の未来が
明るいのかどうかも分からないことを案じて進めなくなるのではなく、わたしたち自身がその見えない
時間に積極的に迷いに行きたい意味を込めていたのだと思います。誰もこれからのことは決めてくれない、自分で決断して進んでいかなくてはならない、そんな当たり前のことをこの作品で掲げてやる必要があるのだろうか。
しかしスリリングで予定調和に済まされないダンスをわたし自身がいまとても欲していて、しかしそのようにわたしがいちいち仕向けなくても起きてしまう「ミクストジャーニー」の稽古の日々は感服するばかりで、ダンスの豊かさを改めて確信してばかりの数ヶ月でした。”
構成・演出・振付 磯島未来(当日パンフレット文章から一部抜粋)
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もうひとつのワークショップ「舞台美術をつくろう !」は、舞台美術を一緒に制作する人を募集し、2回のワークショップを実施しました。ファシリテータは、「ミクストジャーニー」の美術を担当する瀬尾 夏美さんと佐竹 真紀子さん。
1回目は、まずは「ミクストジャーニー」とは?どんなプロジェクトでどんな人が参加しているのかを丁寧に知ることから始めました。ダンスワークショップを体験するために実際に身体を動かしてみたりもしました。レインスティック(音のでる棒状の楽器)をつくり、音を聞いた後は、それぞれのレインスティックの音から受けたイメージを、絵に起こしてみる試みを行いました。他の人が作ったレインスティックの音から連想する「旅の風景」を、水・土・道など、様々な情景を、描画していきます。
音からいろんなものがたりが生まれていました。「ミクストジャーニー」では、絵は舞台背景になったり、レインスティックはひとつのシーンとなり、音を奏でました。
2回目は、まずは、出演者やシーン流れなど、ダンスチームが今まで行ってきたことを写真や映像などで共有し、身体のワークなども実際に試しました。それを踏まえて、出演者みんなに共通して「似合う」を話し合って選び、出演者に「似合う柄」を考えてスケッチをしました。そのアイデアは後日、出演者が身に着ける小道具に生かしていきました。
ただ作るわけではなく、背景を伝えたり、状況を把握することを丁寧に行うことで、参加者の創造性が発揮されました。



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公演には、たくさんのお客様にご来場いただき、誠にありがとうございました。
最後はお客様とともにひとつの空間を作り上げることができました。背景として絶妙に、行き交う通行人や立ち止まるひとも味方につけたように思います。
青葉の風テラスという、2年前にできたばかりの駅に隣接している市民が自由に集まる場所で、この公演を行うことができ、ダンス、福祉、美術などそれぞれのカテゴリを超えた発信することにつながりました。
年代、地域、特性もそれぞれの出演者13人が集まり、制作側も演出、美術、音楽が互いの分野を超えて、一緒にクリエイションの旅をしてきました。出演者もスタッフも、新しいことに挑戦して試行錯誤してきた半年ですが、それぞれが自分の殻を破りまざりあうことで、逆に自分のことやそれぞれの分野のことをよく知る機会になりました。
出演者のみなさま、ケアする人や家族、演出、美術、音楽、制作、裏で支えていたみなさま、本当にありがとうございました。






文責:NPO法人エイブル・アート・ジャパン 武田和恵

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