
終了・報告
報告レポート スウプノアカデミア2025 9月プログラム『みんなでつくるミュージカル』
- 時間
- 午後2時~4時(午後1時40分から受付)
- 場所
- 上杉コミュニティセンター1階 大広間
- 参加人数
- 21人(参加者16人、スタッフ5人)
- 概要
- その場でつくって、その場で演じるエアミュージカル。
「FISH」というタイトルだけ決まっています。
歌って、踊って、描いて、何を演じても大丈夫です。
からだを動かしながら試す場です。見るだけの参加もOK!
出演:Aくん、AKAGAI、参加者のみなさん
作曲・振付:毒田不二子
演出:りか
照明:ヤマキ
音響:こうえい
1.みんなでミュージカルや演劇がやってみたい!
このプログラムは、今年の6月に行われた「まなびを考える会」で、「みんなでミュージカルや演劇がやってみたい」というアイデアに手を上げた4人のメンバーが中心となって作り上げたプログラムでした。
作戦会議が始まったのは、さかのぼること8月10日のことです。
全員がミュージカルをつくるのは初めてだったので、舞台づくりの進め方や専門的なことは、舞台づくりの経験が豊富な、照明の八巻寿文さん(美術家/照明家)に教えてもらいながら進めました。
「どんなミュージカルができそう?」
「みんなはどんなことがしたい?」
まずはみんなが思い描いているイメージを話しあいました。「だれでも簡単に歌って踊れるような曲と振り付けを考えたい」「人前に出るのは苦手だけど裏方の仕事、脚本を書きたい」「歌いたい」「音楽に合わせて踊りたい」など、それぞれの得意なこと・やりたいことを持ち寄って考えました。
できあがったのは「ごちゃまぜ」「海」「魚」をテーマにした「FISH」というタイトルと筋書きでした。「FISH」は、その場に集まっただれもがキャストになれるミュージカルです。
2回目の打ち合わせでは、会場の下見をしたあとに次のようなことを決めました。
・配役、進行役などの役割分担
・事前にセリフを配役の人で収録して、シーンにあわせて流し、それにあわせて演技する。
・当日のタイムスケジュール(午前中に集合して声の収録と打ち合わせ、午後から会場準備)
・準備物の確認、衣装の準備、他

2.「普段と違う私達を見れば、きっと気になって出てくるんじゃないかしら」
迎えた本番当日、飾り付けや照明をセットした舞台の前に参加者が入場します。こちらで用意していた楽器や衣装などを参加者にお渡ししました。事前に『海をイメージした衣装を持参できる人は持ってきてください』と案内していたため、中には自分で用意した衣装を着ている人もいます。


はじめにプログラムの流れや注意事項を伝えたあと、作曲・振付・チラシのイラストを担当した毒田不二子さんに進行を交代してスタートします。
はじめに、場を和ませるために、小さな笑いから大笑いまで段階的な感情表現で心を開放する「10段階の笑い」と、劇中で流れるオリジナル楽曲「ごちゃまぜの海へようこそ」「みんなさかな」を練習しました。

いよいよミュージカルの時間です。
ミュージカル「FISH」は、他の魚と違う見た目のウロコがコンプレックスで、いつも岩場に隠れている一匹の魚・フランが、友人のノアとミラの働きかけによって外に出てくるまでのお話です。
ミュージカルは同じ内容を2回行いました。
1回目は、舞台をつくったメンバーだけでミュージカルをしました。そこで、参加者には、話の流れや、みんなと一緒にオリジナル楽曲で踊るタイミングを確認してもらいます。
2回目は、参加者も一緒に舞台にあがってミュージカルをします。セリフのある役は舞台をつくったメンバーたちで行い、一緒にあがった参加者は、一緒に歌い踊る仲間の魚として、曲のパートで一緒に歌って踊りました。
【劇中で使われたオリジナル楽曲】
・「ごちゃまぜの海へようこそ」(作詞・作曲:毒田不二子)
・「みんなさかな」(作詞・作曲:毒田不二子)



「ふらっときてみんなに暖かく見守られてすごせる場」
後半は感想をはなす時間です。
参加者からは次のような感想がありました。
「フラガールみたいな感じでやってみたいなと思って、ステージに立って良かったです。こういうのやってみたかったんです」
「かちっとした場が苦手だけど、ふらっときてみんなに暖かく見守られてすごせる場がよかった。」
「表現したいけど、表現できる場がないという人は多いのではないかと思う。学芸会のような場だとカッチリしていて、敷居が高い。このような場だと敷居が低くて参加しやすい。こういう場があるということは嬉しい。」
舞台をつくったメンバーたちは、これまでの過程もふりかえりながら話します。
AKAGAIさん「いつも見る側だったんです。いざやるとなると緊張した。主人公役は不安だったけど、家でも仕事中も練習して、成功せねばと思ってきたので良かったです。またやりたいです」
Aくん「参加者として初めてミュージカルをやった。いつもは見てる側で、見てると楽しそうだなと思っていた。経験がなくド素人で、一生参加しないと思ってダメ元で参加してみた。そこで、自分の声を客観的にきくと、いつも自分が思ってるのと違うなと思った。次回もあれば参加しようと思う」
りかさん「普段事務職として働いてるけど、仕事中も脚本をどうしようかと考えた。初めての経験ばかりで、本当に楽しかった」
毒田不二子さん「普段は漫画をかいたり、孤独な表現をしている。今回は私が作った曲でみんなにおどってもらえるのが嬉しかった。またこういう場があったらいいなと願っています」
ふりかえりのあとは、予定した時間より早く終わったので、舞台に上がる機会がなかなかないという参加者の声をもとに、やってみたいことがあるという人が、舞台で歌や踊りを披露する時間にしました。

なお、この「みんなでつくるミュージカル」をブラッシュアップしたものが、せんだいメディアテークの展覧会「もうひとつの森」(11月1日から11月30日まで)の関連イベントとして、2025年11月8日に「あそびとまなびの森 スウプノアカデミア」のプログラムでも行われました。詳細は、別のレポートとして後日公開いたします。

スウプノレコード(参加者の感じたことや学んだこと)
・さかなのダンスや踊りを体験しました。あまりやったことなかったけど楽しかったです。
・自由に「ゆるく」発表できる場があるのはとてもよいと思います。その場で参加ができ、それを受け入れる雰囲気があるのがとてもすばらしいと思いました。
・手作り感が良かった。出演者がみずから作るっていい!飛び入り参加いいね!
・今日参加してみて、見るだけじゃなくて、おどりや、うたをたのしませて頂きました。また来年もこの場所で絵をかいたり、歌、おどりをおどって、もり上げて楽しみたいと思います。
・”作るところに参加したかった”というもやもやが、少し残りました。言いたいことをガマンしたというお母様がいらしたけど、関係なく言いたいことを言って、みんな楽しんだ方がよいと思いました。

伴走者とプログラム担当者の振り返り
●八巻寿文さん(伴走者)
この段階では反省点がいっぱいあった方がいい、次にいかせる宝物をいっぱいもらいたいと思って、何も決めずに進めました。打ち合わせは数回しかやっていないけど、ミュージカルをぶっつけ本番ってあり得ない。本番っていうのは、見せたいところだけをお客さんに見せていて、その裏にスタッフが何人いるのか、何か月かけて舞台を作っているのか、みんなは知らないと思う。だけど、本番のイメージでミュージカルをやるのね、と思って、みんなに預けようと覚悟しました。
本番を2回やったけれども、1回目と2回目とは違うものになっている。プロだと、やることを決めたら同じものをやるけれど、純粋な舞台だからこそ、いいところが出たということです。プロセスも込みの本番だから、お客さんがいる舞台に立って緊張もするし、それで拍手ももらえる。
いろいろなパーツが組み合わさって出来上がる「舞台」という場が貴重なんだと思います。カウントなしで突然歌ってしまっても、それは失敗ではない。
楽しかったです。ぼくはこういう舞台を「幸福な現場」と言っています。
●伊藤光栄(プログラム担当者)
参加者本人たちが主体となってミュージカルをつくる、しかも観客も参加型で、誰でも楽しめるミュージカルにしたいという試みでした。シナリオも演出も曲も振り付けもプログラムの進行も、本人たちが担当し、1回目の打ち合わせのあとは、本人同士で連絡をとりあって脚本や進行の話をすすめるなど、自らの手で進めていました。こうしてできた場は、ふりかえりにあったように敷居を低くしたプログラムでした。これは、本人たちのアイデアや表現力があったからこそできた場だと感じます。本人たちが、「これまで、やりたいけどできなかったことを実現できる場だった」と語っていたのも印象的です。
また今回のプログラムは、11月8日に開催するせんだいメディアテーク主催の展覧会「もうひとつの森」関連イベントの「あそびとまなびの森 スウプノアカデミア」を本番に見据え、実験的にやってみるという意味もあったため、ということもあり「収録したセリフで演じる」「その場で主役をやりたい人がいたらやってもらう」「魚として舞台にあがってもらう」などのアイデアを盛り込みました。プログラム終了後のふりかえりでは、本人たちから、収録したセリフを使うのはやめる、人手を増やす、観客が演者として楽しめる工夫をさらに考える、などの反省点がたくさん出てきました。本番にむけて、この後反省点をふまえたグレードアップが進められますが、これについては次回のレポートをお待ちください。
レポート:伊藤光栄(NPO法人エイブル・アート・ジャパン)




