終了・報告

報告 第4回ブロック会議「出稽古の成果を共有しよう」

開催日
2026年02月25日(水)
時間
14:00〜16:00
場所
オンライン
概要
広域センターが企画運営する「ブロック会議」は、南東北・北関東6県の障害者芸術文化活動支援センター(以下、支援センター)の担当者が集まり、旬なトピックや活動の様子をリラックスした雰囲気で話します。第4回の会議では、ブロック内の他県の視察と交流研修を目的とした「出稽古」について、参加した各支援センターのスタッフが様子を振り返り、その達成状況を確認しあいました。
進行:柴崎由美子、運営サポート:高橋梨佳(以上、広域センター)
出席者
南東北・北関東6県の障害者芸術文化活動支援センター、栃木県障害福祉課、群馬県障害政策課など、合計12名

主な発表内容と学び

1. 栃木県 → 福島県への出稽古(発表者:五味渕仁美さん)

【目的】
地域との交流の場をつくることがとても上手な「はじまりの美術館」が仕掛ける「誰でもが参加できる開かれた場」に参加・見学し、場の設定の仕方や進行の仕方を学び、またその場に参加している人たちの話を聞きながら、当センターの今後のネットワーク構築の場づくりを考える際のヒントを得てくる。

【訪問先】
福島県須賀川市「きになる⇄まちなか美術館」および「福祉とアートのオープンミーティング2026」

【学び】
● 「きになる⇄まちなか美術館」では、店舗の店主が自ら作品を選ぶ展示形式により、地域住民の主体的関与が生まれていた。
● キャプションに「選んだ理由」を書く工夫が、鑑賞者との対話を促進。
● 「福祉とアートのオープンミーティング2026」 では、障害のある人が施設外で活動する姿や、支援者・参加者の関係性の多様性に刺激を受けた。特に栃木県では、主に支援者向けの活動に重点が置かれてきたが、障害のある人自身に対する活動のあり方を考える機会となった。
● 自県の公募展「Viewing(ビューイング)展」を“目的地ではなく起点”とする発想を得た。
● 福島の運営チームが、丁寧に記録をしていた。それが報告やSNSに効いているため、自県の活動の記録化について意識したいと考えた。

2.福島県 → 栃木県への出稽古(発表:小林竜也さん)

【目的】
栃木県の公募展で、県内事業所の方々が設営・運営にどのようにかかわっているかを学び、福島県での公募展運営などに活かしていく。「美術館」を基点とした支援センターとして、その共通点や違いを見ていく。

【訪問先】
TAM会議および栃木県の公募展「Viewing(ビューイング)展」の設営・研修会

【学び】
● 展示テーマを参加者が話し合い、部屋ごとに「ビューイング値」という概念を設定し、例として「ウェルカム〜やわらか、メルヘン、あたたかさ、やさしさ等」をテーマとして作品を編集・展示していた。
● 設営に当たっては、設営の最終日に来た人が最終決定権を持つ”下剋上ルール”など、柔軟な運営が印象的。設営を通じた交流が研修の一部として機能していた。
● 県職員がキャプション作成作業に参加するなど、行政とセンターの協働が密接。職員からも「会期だけでなく、一緒につくりあげたい」とコメント。
● 隣接する他県(群馬・茨城)との連携も進んでおり、広域的な公募展運営のモデルと評価。
● 商品販売のコーナーが広さとバリエーションにとんでおり、作品だけではわからない事業所の充実が伝わる。
● 福島では展覧会の設営を美術館側で完結するが、栃木は設営を研修の場として開いている。それがクオリティや運営面でどう影響するかを分析した。

3. 茨城県 → 宮城・山形への出稽古(発表:小堀幸子さん)

【目的】
茨城に支援センターができて3年目、事業内容が拡充されつつある。そこで、身体パフォーマンスなど、美術以外のワークショップがどのように実施されているか。また企画にどのように人を巻き込んでいるかを学ぶ。はじめての出稽古のため、他県の支援センターのスタッフとも相談できる関係性を築くことも目的。

【訪問先】
宮城県:支援センターを運営するNPOの独自事業オープンアトリエ「アトリエつくるて」
山形県:相談支援の実際と、コミュニティダンスワークショップ体験

4.山形県 → 宮城県への出稽古(発表:武田和恵さん)

【目的】
・1月:「きいて、みて、しって、見本市。『障害と芸術文化のブース・セッション』」を視察して、宮城県内の様々な文化芸術についての情報収集と、中間支援の視点で、取り組みを社会教育施設に人材育成としてつなげる事業の運営について学び、山形県の取り組みに活かしたい。
・2月:オープンアトリエ「アトリエつくるて」の活動に参加して、いろんな人が参加する表現活動の場づくりについて学び、スタッフやアーティストなど関わる人を増やすためにも、担当以外のスタッフやアーティストと同じ場を見学して、これから山形の支援センターで行う場づくりに活かしたい。

【訪問先】
「障害と芸術文化のブースセッション」およびオープンアトリエ「アトリエつくるて」

【学び】
● 多様な11団体が発表するブースセッションで、障害のある人が参加できる活動、助成事業の紹介、自治体によるコンテンツなど。情報保障や当事者参加の工夫を確認。
● 東北福祉大学教員による「大阪万博における当事者参画の事例」のあと、仙台市の複合施設に向けたディスカッションがあり、構成も工夫されていた。
● 「アトリエつくるて」では、誰でも参加できるオープンアトリエの運営を体験。アトリエのグラウンドルールの説明(描かなくてもいい、外に行ってもいい、ごろごろコーナーありetc.)、多彩な画材や使い方の見本などが丁寧に仕組み化されている。
● 参加者とファシリテーターは影響し合う関係でありたいという。たっぷりとした「みる時間」では、参加者が話しやすい場、参加者の主体性を尊重する姿勢を学ぶ。

5.宮城県 → 群馬県への出稽古(発表:高橋梨佳さん)

【目的】
宮城県の支援センターでは、新しく創作活動に取り組み始めた事業所とのつながりが少しずつ広がってきている。今回は、群馬県と広域センターが共催する「障害のある人の表現と著作権」に参加しながら、設立3年目の群馬県支援センターの福祉事業所とのネットワークのつくり方、新しい事業所へのアプローチ方法を学ぶ。

【訪問先】
「障害のある人の表現と著作権〜つくる人と使いたい人のための基本知識(応用編)」

【学び】
● オンラインと現地併用のハイブリッド開催をサポート。支援センター事業の中でも、併用開催はニーズとしてあるため勉強会の必要性を感じる。
● 支援センター共通のテーマであり、企画がやや難しいテーマを、県を跨いで実施する意義も確認。
● 群馬県の参加者は、前橋市、高崎市、桐生市、みどり市、安中市など様々な地域から参加していたため、ネットワークの作り方に関心を持った。
● 自県では、当事者や個人参加者が多いという特徴を再認識することができた。一方、福祉施設との関係性の構築には課題が残るため、今後の研修設計に活かす意向。

6.群馬県 → 茨城県への出稽古(発表:吉田征雄さん)

【目的】
令和7年度茨城県パラアーチスト発掘事業 「障害のある人の表現と企業をつなぐプロジェクト会議Vol.1」に参加し、茨城県における企業連携の実態を学ぶと共に、一部講師を担い群馬県での実績を共有し意見交換の場をつくる。また水戸市の「北水会すいこうスクエア」見学により、医療、高齢者福祉、障害者福祉各種機能を持つ複合法人でのアート活動の現状を学ぶ。

【訪問先】
茨城県「企業連携研修会」および「ちいきの学校」および「北水会すいこうスクエア」

【学び】
● 群馬の企業連携事例を講師として紹介する機会に出稽古に参加。
● 茨城では企業・医療・広告関係者など多様な参加者が集まり、ネットワークの広さを実感。
● 北水会の地域拠点を視察し、地域資源を活かした活動モデルを学ぶ。
● 今後「北関東連合」として広域連携を強化する構想を共有。

まとめ

● 「出稽古」は単なる視察ではなく、現場での実践・対話・相互支援を通じた学びの場として機能している。
● 来年度も継続実施を希望する声が多く、多忙化する前の早期実施も提案。
● このブロック会議では、各県の支援センターが互いの実践を共有し、地域文化と福祉をつなぐ中間支援のあり方を再確認した。
● 特に「現場での関係性づくり」「行政・企業・市民との協働」「支援者と当事者の境界を越える実践」が重要な学びとして強調された。

文責:柴崎由美子(南東北・北関東広域センター/NPO法人エイブル・アート・ジャパン)

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