終了・報告

報告レポート スウプノアカデミア2023「ことばと表現~俳句をつくろう」

開催日
2023年07月23日(日)
時間
14:00-16:00(13:40受付開始)
場所
せんだいメディアテーク7階 スタジオb および オンライン
参加人数
合計13人
<参加者7人(オンライン1人)、付添者0人、ボランティア1人、講師1人、スタッフ4人>

■内容

このプログラムは、6月に開いた「まなびを考える会」の中で、「俳句」というキーワードが数人から出たのがきっかけです。俳句に詳しい渡辺誠一郎さんをゲストにお呼びして開催しました。

1.俳句は遊びです。

はじめに「夏といえば●●」とともに自己紹介をしました。このキーワードは、のちほど俳句の季語を考えるきっかけにもなりました。

自己紹介を終えて、早速、本編に入ります。まずは、渡辺誠一郎さんから俳句について、次の6つのことを学びました。「俳句は遊びだからね」と言い、渡辺さんは有名な俳人の句を紹介しながら教えてくれました。

(1)身の回りのものをよく見る。
(2)今の季節を受け止めて。季語を一個入れる。
(3)自分の感じたことを5・7・5の文字数でまとめてみる。
(4)言葉のリズムを大切に。
(5)切字「や」「かな」「けり」などを使ってみる。動詞はできるだけ一つ。「は」「に」は避ける。
(6)イメージを大切に。

2.●●って季語ですか!?

白紙を用意して、早速俳句を書いてみます。
窓際の席にすわったり、歩いてみたりしてもOKとしました。
渡辺さんからは「頭で考えるより、手で書いてみる」という声がけがあり、それぞれが紙にペンを走らせはじめます。はじめから俳句を書き始める人、一回思いつく言葉を書き出しながらじっくり考えてみる人、それぞれの方法で俳句を書きました。
はじめての人も多く、季語についてや俳句の書き出し方などの質問がでていました。
書き終えた人は、発表する句をA4用紙1枚に1句書いて提出するようにしました(名前は書かない)。何枚書いても大丈夫です

3.句会をやってみる!

句会の形式で俳句を発表しました。
書き終えた俳句は集めて、会場前に設置したホワイトボードに張り出していきます。張り出した紙には数字を書き入れます。
「選んでいるあいだに相談はしない」「自分の句以外でお気に入りの句を3つ選ぶ」「番号と上の句を読み上げる」というきまりで、一番多く票を集めた句を決めるという遊びです。


▼当日、読まれた俳句の一覧。

4.生きるチカラにもなります。

発表のあとは、渡辺さんから1句ずつ感想や添削のコメントをそえて、句を書いた人に返していきます。ここで、誰がこの句を書いたのかわかりました。渡辺さんから「絵が(絵として)残るように、俳句も自分の気持ちが言葉に残るわけです。生きるチカラにもなります。みんなにほめてもらうとかね。」という話もありました。
最後にスウプノレコードに感想を書いて、このプログラムは終わりました。
世界一短い詩、言葉の世界を体験できたプログラムでした。

■スウプノレコード(参加者の感じたことや学んだこと)

・俳句の楽しさを学生時代ぶりに想い出させてくれたワークショップでした!
・俳句の作り方や五七五について知れてとても勉強になりました。
・まわりの方の俳句も見れたのでよかった。参考になった。一人一人表現の仕方がちがっていて、そこがよかった。
・一人一人の句の背景をもっと語ってほしかった。聞きたかった。ことば、語順とか場所とか、色々できそうと思いました。
・俳句は「あそび」ということと、「気持ちが残ること/残せる」という言葉が印象的でした。いくつかの決まり事/手順をふめば、みんな各々、句をつくることができるというのもわかりました。

■参加者と講師、プログラム担当者の感想と振り返り

・まゆみ(参加者)
俳句を作ることがほぼ初めてでしたが、先生が色々と俳句について教えてくれて気軽にやってみることが出来ました。すらすらと描いている人、じっくり考えている人が五七五に言葉をあてはめていました。私は、しばらく考えてから五七五にどう書くか少し時間がかかりましたが、満足のいく作品になりました。句会をしてみんなの作品をみましたが、それぞれ全く違う感覚でかいており、自分にはない言葉遊びのような作品がたくさんあって驚きました。


・渡辺誠一郎さん(俳人、宮城県俳句協会長)
俳句は基本的に誰でもつくれる表現です。小説だと難しいですが、俳句は五七五と短いからです。いろいろなところで俳句を一緒に勉強してきたが、みなさんの感覚がよかったです。俳句は理屈ではなくて、感覚でつくる一句です。なので、俳句の王道の作り方をしているように感じました。今後のことをいえば、日常的に日記の最後に五七五で作る、旅の途中の電車で作るなど、身近な遊びとして続けてほしいと思います。


・佐竹真紀子(プログラム担当、美術作家、一般社団法人NOOK)
「言葉」を使った学びと表現の機会がアカデミアであったらいいかもと考えているときに、ちょうど学びを考える会で「俳句、気になる!」と参加者からも声があがり、俳句づくりにチャレンジしました。
多くの人が初挑戦。ゲストの誠一郎さんから「俳句は遊びだからね」と気軽につくっていいよと前置きがあったことで、みなさん短時間でさくさく句をつくっていました。
五七五にパッと言葉を当てはめるだけでも充分すてきなのですが、みなさんが、自らが持っているイメージや日常の記憶や経験を季語を通して俳句に託している様子にとても驚きました。つくった俳句を句会の方法でみんなとシェアする中で、こんなイメージや背景が込められているのかな?と想像する楽しみもありました。
つくった人の言葉を大事にしつつ、「この部分をこんな表現に変えたらどうなるかな?」と誠一郎さんが別の言葉を添えると、またあらたな表現に。誠一郎さんは後日アカデミアの学びの場について「俳句は遊びだけど、評価を気にしちゃって素直につくれないという人も時々いる。みなさんは、立場関係なく参加し、素直に俳句に向き合ってた。表現や芸術って“素”だと思うから、私も楽しかったよ」と語っていました。
ひとりでももちろん楽しめるけれど、人と一緒に言葉を探していける。つくった俳句が、ある季節にみんなで集まってつくった思い出としても記憶に残る。このあたりに、みんなで遊ぶひとつの手法としての俳句の軽やかさを実感しました。

レポート:伊藤光栄(NPO法人エイブル・アート・ジャパン)

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