終了・報告

報告レポート「芸術銀河2023出前講座」松島自然の家 ハートフルデイキャンプ2

開催日
2023年11月04日(土)
時間
9:30~13:30
場所
宮城県松島自然の家(宮城県東松島市宮戸二ツ橋1)
講師
エイブル・アート・ジャパンスタッフ
「芸術銀河」とは、文化芸術による共生社会の実現を図り、県民に対し広く芸術に触れる機会を提供するために行われるものです。SOUPではこの「芸術銀河」の機会を活用して、宮城県内の3地域でアウトリーチ事業を行いました。そのうち、この事業では、松島自然の家の活動に、障害のある人もない人も参加しやすい環境づくりを推進するため、社会教育施設(自然の家)と大学生のボランティアと連携して企画実施しました。だれもが参加しやすいプログラムとして、芸術文化活動/クラフト活動を軸に企画を構成しました。
共催:みやぎ県民文化創造の祭典実行委員会

■内 容

宮城県内の特別支援学校及び特別支援学級に在籍する児童・生徒を対象に、自然体験を通して心身のリフレッシュを図る活動。全2回のうち、2回目のクラフト活動では「まつしまオーシャンドラム」「じょうもんレインスティック」をつくった。楽器(音具)のなかは、お米・小豆・大豆でとても素敵な音を奏でた。

■参加者

合計44人(内、参加者22人、スタッフ22人)※内、障害のある人は10人。

■サポート体制

ボランティア(東北福祉大学松島カウンセラーズ)14人、松島自然の家職員6人、宮城県職員2人、エイブル・アート・ジャパンスタッフ3人

■準備の様子

宮城県生涯学習課との事前の見学・現地ヒアリングにより、「海の活動」と比較して「クラフト活動」にはバリエーションが少なく、とくに多様な特徴をもつ障害児童・生徒に提供できる活動に課題を抱えていることが明らかになりました。特記として、これまでは、木材や木の実を使って額絵をつくることを試みていたそうですが、子どもが長く集中することができない、親が最後に制作に従事せざるを得ない、などがわかりました。また、1回目のスポーツ活動(雨天のためシーカヤックから変更)では、キャンプカウンセラーの役割が不明瞭な側面がみられたため、プログラムの検討と運営の手法を検討しました。
プログラム準備段階では、20年以上自閉症児等と造形活動を行ってきた専門家とオンラインで打ち合わせし、以下の柱をたてました。

・松島自然の家の環境と調和するテーマでクラフト活動を行う
・クラフトを障害児に愛称の良さそうな「楽器(音具)」にして自宅に持って帰ってからも愛着をもって使用することができる
・活動に集中してもいい、休んでもいい、離れてもいい、をすべて認められるように会場を野外炊飯場とした
・造形力の有無にとらわれない、誰もが単純作業で完成することができる画材と手法を用いる
例:基底材の紙を色紙にする、金銀白色の顔料マーカーで線だけでも格好良くみえるようにする、絵を描かずともシールを貼ることで造形物を完成することができる等
・参加親子に必ずキャンプカウンセラー1名を配置し、「子ども自身の活動の尊重」と「クラフトの完成」の2つのゴールを達成できるようにする
・そのために材料の一部を事前に仕込んでおく
・1回目のアンケートから参加者同士が交流を求めていることがわかったため、テーブルごとのグループ化や自己紹介タイムなどにも配慮する
・自らつくり達成した喜びをわかちあうために、楽器(音具)や感想を披露する時間を設定する

また、キャンプカウンセラーのうち3人の大学生に事前準備に参加してもらい、当日作成するクラフトづくりを自ら体験し、材料・作り方・危険な作業のポイント・時間感覚をつかんでもらった。また、当日のスタッフ配置を一緒に考え、それを当日マネジメントしてもらいました。

■当日の様子

「まつしまオーシャンドラム」と「じょうもんレインスティック」という2種類の音具をつくることを説明していきます。はじめは、全員で作り方の手順をきく時間です。個別の写真付きレシピも配布して、各家族にキャンプカウンセラーが1-2名つくかたちでテーブルごとに作業をすすめました(詳細の様子は写真を参照)。
アンケート結果から「とても満足」が8割、「満足」が2割と、高い満足度であったことがうかがえます。1時間強、ずっと集中してクラフト活動に参加した児童生徒、途中離脱したが拾ってきた葉っぱや小石で音具を完成した児童、外にたててティピと制作場所を往復しながら活動した生徒など、多様でありながらもそれぞれが音具を2種、完成することができました。
なお、音具制作のあとは、豚汁とおにぎりづくりを行いました。昼食後、宮城県職員(音楽教員)に手伝っていただきながら音具の発表会を催し、また家族ごとに音具を披露し自慢のポイントを語ってもらいました。

■アンケート結果(回答数10件)※おもに付添者が回答しています。

感想(一部)
・沢山のボランティアの方々にお手伝いしてもらい安心して参加できた。
・いろいろな作業を不器用ながら、援助してもらいながら、やり通すことができた。ありがとうございました。
・知らない友達と一緒に協力して作業できて良い経験になった。
・親子で充実した時間を過ごすことができました。ありがとうございました。来年はカヤックぜひ乗りたいです。
・家族だけでは野外活動や工作をしたりしないので良い機会をいただきありがとうございました。
・障害のある子を対象としていてくれてとてもうれしいです。
・のびのびとした活動に参加できた
・学びの多い時間をありがとうございました。むすび丸に会えたこととてもうれしかったです!
・今回初めて参加させていただきましたが、カウンセラーのおねえさんお兄さん先生方家の方々大変親切にしていただき、ありがとうございました。また発達支援の先生にもアドバイスをいただき本当にためになりました。親子で充実した時間を過ごさせていただき感謝しております。本当にありがとうございました。
・色々な方とお話しできて楽しかった。

■当日の写真

▼音具の中身はお米、小豆、大豆など

▼音具の模様をシールやイラストで仕上げます

▼親子で真剣!めうちの穴あけ作業

▼穴に楊枝をさす。単純作業も案外好き?!

▼拾ってきた小石や葉っぱも松島の思い出

▼「ほら、みて!」音具の披露もみんな自慢げでした

▼キャンプカウンセラーも家族の感想や物語に耳を傾けました

▼会場設定
会場内手前を材料コーナーとめうちコーナーの2箇所設けました
めうちコーナーは、怪我のおそれがあるため、スタッフが一人つく体制をとりました

▼野外には、風でなびくスネークフラッグを設置したり、芝生で遊んでても見守りできるようにスタッフを配置したり、クラフトが苦手な子や外に出て遊びたい子も安心して参加できる環境に配慮しました

レポート:柴崎由美子(NPO法人エイブル・アート・ジャパン)

バナー:障害者芸術文化活動普及支援事業(厚生労働省)
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