終了・報告
【レポート】アトリエつくるて2023第1回
2023年7月15日(土)、今年度最初の「アトリエつくるて」を開催しました。
今年度から、午前と午後、2つの時間帯にわけて実施しています。
ここでは午前の回の様子をレポートします。
まずは先に集まった参加者のみなさんと会場の準備。どんなテーブルの配置が良いか、どの席に座りたいか、一緒に話しながら決めました。また、アトリエやワークショップで使う作業テーブルと画材BOXが新しくなった(詳細はこちら)ので、会の最初にみなさんに紹介しました。
画材を思いっきり使ってのびのび創作
初めてアトリエに参加してくれた人が、「ダンボールを使って何かをつくりたい!」と創作をはじめます。
まずはお家から持ってきた空き箱とダンボールをガムテープで合体!空き箱の中には、ラップの芯や、くしゃくしゃに丸めたガムテープなどをつめていきます。しだいに毛糸を巻きつけてみたり、半透明のシートや巻きダンボールでくるんでみたり、シートの上に絵の具を垂らしてみたりと、使う画材の種類が増えていきます。作品はどんどん巨大化していき、後半は床に置いてつくっていました。最終的には、机に設置し、上部に赤い十字架のようなものを立てた「バクダンとおはか」という作品が完成!スポンジでつくったスイッチや、心臓だというペットボトルのフタなど、細かいパーツにも意味があることを話してくれました。
その様子をそばで見ていたお母さんが、「ここでは画材を思いっきり使えるのがいいですね」と。アトリエで用意している画材は簡単なものが多いですが、画材の消費を気にせずにのびのび創作できるのも魅力です。
そんなお母さんも、飼っている犬をモチーフにした大きな犬のかぶりものをつくっていて、特徴的なまんまるの黒い鼻には、毛糸を約一玉ぶん使っていました。スポンジに直接絵の具をつけ、スタンプのようにポンポンと押すことでランダムに色をつけた模様が素敵です。
となりのつくり手さんに影響を受ける
ふだんは家で創作をしている人も、ここに来るとだれかの創作に影響を受けて、表現方法が変化することもあります。
ダンボールで創作を始めた人に触発されて、常連の参加者さんも初めてダンボールに絵を描きはじめました。こちらは自宅の屋根裏に住んでいるという「ハムスター」を描いた絵です。
まずは絵の具でオレンジや黄緑の面をぬっていき、深い緑でふちどった背景を描きます。その上にマジックペンを使って、まるまって寝ているハムスターを隙間なく描いていきます。似ているようで一匹ずつちがうポーズで寝ている姿がとても愛らしいです。
そしてもう一人、ダンボールの創作に影響を受けた参加者さんも。ふだんはジオラマ用のパーツを用いて好きな戦艦などを組み立てていますが、今回は厚紙と色画用紙で戦艦をつくりはじめました。迷彩模様も緑と黄緑の画用紙をていねいに切り貼りして表現。やわらかくイラストのような戦艦ができあがり、その人の新しい表現に触れることができました。
今年の目標はていねいに描くこと
いつものアトリエではその日に複数の作品を仕上げる参加者さん。今年の目標は、「ささっと描かないで、一枚の絵をていねいに描くこと」といいます。この日は持参したタブレットで一枚の絵にじっくり取り組んでいました。描いていたピンクの生き物「イエティ」は、大好きなお兄さんがモチーフで、小学校6年生のときに考えたキャラクターなのだそうです。当時、目立ちたがり屋なお兄さんが好んで身につけていたショッキングピンクの色をしています。
アトリエでは、そうした作品の背景にあるその人の大事なできごとに触れてハッとすることがあります。
他に、このアトリエに定期的に参加している友達に誘われて、初めてアトリエに参加してくれた人は、その人のファッションにもよく似ているヴィジュアル系の人の絵を描いていました。シャープペンシルを使って、ストレートヘアの髪の毛一本一本を、ていねいに描き込んでいます。冒頭で紹介した、ダンボールで熱心にバクダンをつくっていた人が、この絵を見て「この絵、好き!」とストレートに思いを伝えていたのが印象的でした。
また、他にも人物の絵を描いている人がいました。画用紙の真ん中に、ウェーブのかかった茶色い髪の女性が描かれ、その背景は、主に色鉛筆とパステルを使って、紫、青、緑などのグラデーションと波のような絵で、女性が海の真ん中にたたずんでいるようでした。そのあと、水彩絵の具で描かれた夕暮れの空に灰色の雲が浮かんだような絵も描かれていました。
それぞれの創作に集中したあとは、お菓子休憩をはさんで、みんなで「見る時間」です。
一人ひとりの作品の背景にある物語を聞きながら、お互いにつくったものを見せ合いました。これまで自分の創作に集中していたみなさんですが、他の参加者さんのつくったものをじっくり見て、話に耳を傾けていたようでした。
時間帯を午前と午後に分けたことで、いつもより少ない人数で、ゆったりと創作できる環境になったと思います。
レポート:高橋梨佳(エイブル・アート・ジャパン)