終了・報告

《 SHIRO Atelier&Studio2021 》報告レポート「アトリエつくるて」第4回

開催日
2021年12月25日(土)
時間
14:00-17:00
場所
日立システムズホール仙台
ファシリテーター
佐竹真紀子さん、庄司こずえさん
参加人数
参加者9名、付き添い2名、ケアワーカー2名、スタッフ3名 合計18名
概  要
1.プログラムの説明(10分)
2.つくる時間(110分)
3.作品をみる時間(60分)

「アトリエつくるて」は障害のある人とない人が、ともに表現することができるアトリエです。仙台市の文化施設を活用した定期的な事業として、昨年度から継続的に開催されています。まず、『1.つくる時間』では、思い思いの材料を選び、自由に作品を創りあげます。その際に、ファシリテーターがアドバイスや画材の提案など、創作のお手伝いをいたします。そして、『2.作品を見る時間』では、のんびりお菓子を食べながら互いの作品をじっくりと見て、全体で感想や振り返りを共有します。
(今回は感染対策のため、茶話会を中止いたしました)

今年度第4回目の「アトリエつくるて」の様子を振り返ります。

今回の「アトリエつくるて」は、朝夕に雪がちらつくホワイトクリスマスに開かれました。アトリエは小さなイルミネーションで飾られて、優しく瞬いていました。参加者の方々の作品の中にも、クリスマスらしいモチーフのものが見られました。

初参加の方は、祈る母子像のような絵と霧に包まれたポップな街の絵を描いていました。いつも愛用している鉛筆に加えて、ペンやジェッソなどの画材を実験するように試していらっしゃいました。何度も塗り重ねて描くことで、年輪のような重厚さが編み出されていました。

コンテという画材に挑戦した方は、真剣な眼差しで円を辿っていました。ぐるぐる模様をティッシュでこすると、銀河や飴玉のように見えるぼんやりしたまるい形が広がっていきます。指先に集中して創作する様子は、見ているこちらが前のめりになってしまうような魅力があります。

乗り物が大好きな方は、市営バスと幼稚園の頃の内科検診の様子を映し出していました。だんだんと描く記憶がさかのぼっていて、次回は市電を描きたいと笑顔で語っていらっしゃいました。

その向かいの方の絵は、眉間に「ごめんね」と書かれた巨人の肩に、万歳をしている小人が乗っています。ご家族と仲直りするために描いた絵で、暖かな太陽の光が淡いパステルで表現されています。おおらかな包容力があって、ほっと安心できる作品です。

クリスマスをとびきり楽しんでいた女の子は、たくさんの女の子の絵を生み出しました。演劇をしている女の子や、だるまさんがころんだで遊ぶ女の子、首が長い女の子。お母さまいわく「不思議少女シリーズ」とのことで、お洋服や香水などの素敵なものに囲まれた女の子がボールペンのモノクロで描かれています。

その女の子のお姉さんは、不思議の国のアリスの世界から飛び出てきたような、ファンタジーな森の絵を描いていました。木には角のように2本のキノコが生えていて、馬のしっぽのような川の上にはカラフルなつららが並んでいます。最近は定規を使い始めたそうで、描き方からも工夫を凝らしていることが伺えます。

お隣では、赤と緑のクリスマスカードが作られていました。流れるような手さばきで作りあげられる作品は、まるで洋書の表紙のような佇まいです。縁取り等に使っているラメ入りのペンは自作のものだそうで、作品へのこだわりはさることながら、道具へのこだわりも垣間見えました。

向かいの女性は、クリスマスの物語を紙芝居のようにして、思いを綴っていらっしゃいました。作品を見る時間ではご本人の朗読があり、終わると女の子から「すごい」と言葉が零れました。マッチ売りの少女になぞらえた夢のような終わりに考えさせられ、人を勇気づける力のある作品です。

今回のアトリエはクリスマスということで、みなさん一段と楽しそうで、温かな空気に包まれていました。

レポート執筆者 櫻井香澄

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