終了・報告
【報告】SHIRO Lab.ともにつくる実験場
平成28年度 仙台市市民協働事業提案制度
SHIRO Lab.ともにつくる実験場
事業報告
●STEP1:事業計画公表(6月~8月)
トーク&ワークショップ「障害のある人との協働による社会デザイン」を開催し、
障害のある人、福祉施設スタッフ、行政職員、デザイナーなど35名の参加があった。
前半は講師によるインクルーシブ・デザインに関する取り組み、活動の紹介、後半は「48時間デザインマラソン 仙台市八木山動物公園編」の事前ワークショップを実施。
参加者が5つのチームに分かれ、仙台市のアイデンティティとして大事なものを3つ選び
プレゼンテーションし、ブランディングにおいて重要な要素である、
商品アイデアの軸を検討する過程を体験した。
成果
・プロジェクトの意義などの理解を深めることができ、次のステップである48時間デザインマラソンの参加にもつながった。
・さまざまな立場の参加者が一緒にグループワークすることで、相互理解の第一歩につながった。
●STEP2:48時間デザインマラソン@仙台八木山動物園(9月)
9月には、障害のある人とデザイナーがチームを組み、仙台市八木山動物公園におけるおみやげづくりをねらいとして商品開発を行う「48時間デザインマラソン 仙台市八木山動物公園編」を実施した。
ライラ・カセムさんをファシリテーターに迎え、チームの顔合わせから「動物園ショップの新商品となる、アーティストの絵を最大限に活用したデザイングッズのシリーズ」という課題に対するアイデアの提案までを
2日間で集中的に行った。とくに仙台市八木山動物公園が保護事業の対象としているシジュウカラガンをデザインに取り入れることなどの条件が設けられた。
障害のある人個人3名、福祉事業所4団体22名(障害のある人13名、職員6名)、デザイナー12名(学生4名、企業1名)、合計34名が参加。
審査員に障害者支援課課長、産業振興課課長が加わり、審査によってその中から3アイデアを採択した。
成果
・障害のある人が社会で積極的にプロジェクトを行うことで自信につながり、障害のある人の持つ可能性に気づく機会となった。
・デザイナーの今後の役割や可能性、社会のなかで貢献するデザインの力を改めて確認する気づきがあった。
・凝縮した時間の中で相互理解を深め、新しい商品アイデアが生まれた。
●STEP3:採択案件3件の試作(10月~12月)
●STEP4:制作・ブローシャ作成(12月~2月)
採択された3アイデアを試作するために、関係者が集まり会議の場を持った。
・10月17日 第一回採択チーム全体打ち合わせ。 (参加者13名)
・11月11日 仙台市八木山動物公園売店リサーチなど打ち合わせ。(事務局3名)
・11月29日 第二回採択チーム全体打ち合わせ。 (参加者13名)
・その他、事務局が各チームに合わせた個別サポートを実施。(商品制作、コストマネジメント、資金計画など)
デザインマラソンは新しいチャレンジや実験の場となり、採択されたチームは障害のある人個人のケース、重度の障害者が通う福祉施設のケース、福祉施設と企業との協働のケースと、三者三様となった。
・併せて、市場による売上の動向や結果を比較するため、動物園とは別の販売先を確保した。
・試作品を撮影し、プロジェクトや商品を発信するリーフレットを作成し、
宮城県内外合わせて約500通を送付し広報。マスコミリリースも行った。
成果
・採択チームが集まり全体で情報を共有することにより、アドバイスや、情報交換が活性化し、実践的な学びが深まった。またこれにより、新しいネットワークができ、SHIRO Lab.としてのまとまりができた。
・商品制作における各チームの課題が洗い出され、実験が新しい事例となり、次に活かされる可能性につながった。
・福祉施設や障害のある人とデザイナーとが、環境の違いや立場の違いなどを感じ、難しい点もあったが、実践を通し互いに理解を深めることができた。
●STEP5:販売、販売広報(2月~3月)
仙台市内2カ所の期間限定ショップで試験販売を実施した。
・2017年3月20日(月・祝日)1日間仙台八木山動物公園 ビジターセンター中庭
売上: 34,412円
・2017年3月15日(水)~3月22日(水)8日間 パルコ仙台店本館1F「期間限定ショップZOOMORA」
売上:697,525円(内SHIRO Lab.商品3割の売り上げ)
取材:テレビ1(NHK仙台放送局)、新聞2(河北新報、毎日新聞)、フリー紙1(ぱれっと)、朝日新聞(4月掲載予定)
●巡回販売が決定
「期間限定ショップZOOMORA」
会期:2017年5月15日(月)〜23日(火)
会場:JR京都伊勢丹 4F特設会場
成果
・動物園、ファッションビルと二カ所で実践できたことで、場所やニーズによって売れる商品、デザイン、価格帯などの傾向を知ることができた。
・「シジュウカラガン」をテーマにした商品を販売することで、八木山動物公園の事業の啓発にもつながった。
・動物園に設置したパンフレットを見て県外から問い合わせがきたり、報道をみてきてくれたお客様が多く、商品の売上や事業の発信にもつながった。
・地元のお客様から、障害のある人が関わる商品で「仙台発のものが生まれたことはうれしい」という応援の声が多かった。
・期間限定ショップZOOMORAでは、障害のある人のかかわった企業の商品や施設商品を全国からあつめ同時に販売を行ったが、SHIRO Lab.商品もそれに対して引けを取らず売上を上げていた。
・デザイナーと協働することで、障害のあるアーティストの可能性を引き出し、商品に活かすことができ、商品力が上がり売上につながることの第一歩を示すことができた。
●協働で取り組んだことによる効果
・障害福祉と産業振興がより連携することで、各課の視点からのご意見、課題の洗い出し、また各課のネットワークを生かしたつなぎ支援や事業PRなどを行うことができ、障害ある人の可能性の幅を広げ、新しい仕事を創出し、仙台市からモデル事業を作りだすことにつなげたい。
・行政の補助事業でもなく、委託事業でもなく、「担当課と協働し事業を行う」実践は当団体および個々のスタッフの経験としてもはじめてである。行政職員と役割を分担し、チーム一丸となって目的に向かうことの意義を大きく感じている。
この仕組みは他府県の行政職員に紹介しても、関心をもっていただくことが多い。
・行政内部でも課を横断して、実際に現場に出向き課題に触れるきっかけになることができる。この制度により、社会が抱える課題解決に向けての歩みがプロジェクトのみの一過性のものに終わらず、より多様な課題の解決に向けて、市民と行政との関わりが近づくことに期待したい。
文責:エイブル・アート・ジャパン武田
SHIRO Lab.チーム
アートディレクター:佐藤志保
ライター:高橋創一
事務局:NPO法人エイブル・アート・ジャパン 佐藤舞香、佐々木えりな、武田和恵、柴崎由美子
平成28年度仙台市市民協働事業
協働:健康福祉局健康福祉部障害者支援課、経済局産業政策部産業振興課