NPO法人エイブル・アート・ジャパンは、平成26年から「障害者の芸術活動支援モデル事業」
として「まぜると世界が変わる」をコンセプトにSOUP(障害者芸術活動支援センター@宮城)
の活動を実施してきました。そして平成29年度より「障害者芸術文化活動普及支援事業」
(厚生労働省補助事業)として、全国26カ所の実施団体が事業を進めています。
この事業によって圏域を超えたネットワークが各所で生まれています。
おもに、北海道・東北で開催されている作品展の情報をご紹介します。
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●北海道・北東北アール・ブリュット展 札幌展 報告
日時:2018年1月16日(火) ~21日(日) 10:00~18:00
会場:ギャラリー大通美術館
(札幌市中央区大通西5丁目11 大五ビルヂング1F)
*1月20日にギャラリートークにはSOUPも参加しました。
主催:北海道アール・ブリュットネットワーク協議会
協力:一般社団法人あおもりインクルージョンネットワーク、NPO法人アートNPOゼロダテ
社会福祉法人光林会、NPO法人エイブル・アート・ジャパン東北事務局
後援:北海道、北海道文化財団
【報告レポート】
札幌展の展示会に参加してきました。
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1月20日15時から17時に開催されたギャラリートークでは、北海道、岩手、青森、秋田、宮城の
関係事務局による活動紹介がありました。参加者は54人。作家や作品を語る、というよりはそれぞれの
地域でみられる、作品をとりまく活動や波及についてのセッションの形式でした。
岩手からは、障害のある作家が学校に訪問する「出前授業」の紹介があり、キーワードとして「出会う」と
いうことと、生きることと不可分である表現活動を通して「いのちの本質と出会う」ことが紹介されました。
また青森からは、障害のある人の表現を通して福祉の魅力を伝える「福祉教育」の可能性、またそれを
推進するための地域に根差した展示会、さらにネットワークを重視するために新しい一般社団法人をたちあげた
様子などが紹介されました。秋田からは、2017年秋に開催した「ゼロダテ少年芸術学校」の実践が紹介され、
過疎化がすすむコミュニティでアートがどのような役割を果たし、地域の子ども、障害のある人、学生などに
どのような影響を与えるかが語られました。北海道からは、ひとつのアートスタジオから具体的な作家の例が
示され、原画の販売やそれに伴う権利に関するプロセスが紹介されました。
宮城からは、作家の作品を商品や経済活動に結ぶ事例の紹介をしました。とくに、昨年の22人の作家の
アーカイブと公開を通して、展示会や取材などの問い合わせが増えたこと、また仙台市の障害福祉課と産業振興課と
ともにすすめている地元クリエイターや企業と障害のあるアーティストたちとの協働事業の紹介をしました。
また、まとめとして障害のある人によるアートの働きかける作用は、芸術分野に留まらず、
経済・教育・健康と福祉・社会(参画)におよぶことを提案しました。
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展覧会終了後、北海道事務局より報告がありました。
札幌展の入場者数は、カウント出来ただけで約1,000人、青森展は2会場併せて約800人、函館展は約350人で、総入場者数は約2,000人という報告がありました。
宮城の作家と作品を多くの方に知っていただく機会となりました。関係者のみなさまに心より御礼申し上げます。
(文責:柴崎由美子)