広大な旧ホテル・イベントホールを改装し、屋内運動場として活用して就労継続支援A型、B型事業所を運営。
本取材は自宅で絵画制作・音楽活動を行っている方、幼い頃から造形教室に通って現在は絵画、イラスト、アクセサリーを制作している方、義足制作の技術を生かして竹細工制作に取り組む方、イラスト・漫画から音楽活動までチャレンジする方、精密な型抜きを行う方、以上の5人に話を伺った。
クローバーズ・ピアワッセ(以下、ピアワッセ)は、広大な旧ホテル・イベントホールを改装、フットサルなどの屋内運動場として活用し、就労継続支援A型、B型事業所を運営しています。A型事業では、屋内運動場の運営、駐車場の管理、寮の清掃管理業務、陶芸作品の制作・販売など、B型では施設内の清掃管理、石けんの制作・販売、リサイクル品の販売などに取り組んでいます。
こちらでは5人の方にお話を伺いました。高橋佳史(よしひと)さんは、大学を卒業し、主に自宅で余暇として、絵画制作や作詞・作曲などの音楽活動を中心に表現活動を行っています。大学時代から人物画を描き始め、いまでも毎日帰宅後、夜中に描いているとのこと。Art to You! 東北障がい者芸術公募展のことをスタッフから教えてもらい、第2回に応募し、入選。オーディエンス賞、仙台市長賞を受賞しました。また通っている病院のデイケアから依頼があり、これまで2回ほど利用者とその家族を対象に、ご自身の経験について語る講話をしたことがあるといいます。魅力的な女性を描きたいし、それが伝わるような作品をつくりたいといいます。
絵画、イラスト、アクセサリーなどの制作を行っているきょうこさん(作家名)は、幼い頃から造形教室に通い、中学・高校では美術部に所属。ピアワッセでは木工班に所属し、竹商品や陶芸に絵付けをしたり、好きな猫をモチーフにした作品づくりの造形活動などを行っています。オーストラリアに旅行に行った際、そこでみた面白いかたちの魚を描くなど、日々の生活の中でユニークなかたちをしたものに出会うと、スケッチや写真にして、頭の中でデフォルメし構成して作品にしていくのだといいます。Art to You! は、第1回開催時に見に行き、それをきっかけに、第2回はご自身の作品を応募しました。「自分の作品をたくさんの人に見てほしいです」と語ってくれました。
渡辺達也さんは以前、義足の制作などの仕事をしており、その精密な技術を生かして7年前から竹細工を制作しています。「自分の頭の中には、たくさんの構想があります。12月からは、竹で昇り龍を制作する予定です。将来の夢は、プロの竹細工師になって、自分の作った竹細工で多くの人々に喜んでもらうことです」とあらかじめ手紙にしたため、訪問者にわたしてくれました。
佐々木周作さんはピアワッセの管理、清掃を行う住居班に所属し、イラストや漫画を描いています。伺った際、10年ほど前に出版社に持ち込みをした漫画を見せていただきました。人間関係でエネルギーを使い持ち込みに挫折した後、自分のことを調べていくうちに病識を持つようになったそうです。それからデイケアに通い、自分の道を探し始めました。作詞・作曲を行い曲の発表をしたいと思い、ギターをゼロから覚え、曲づくりをしてアルバムを完成させます。またピアワッセの会報誌の表紙イラストを担当しています。
佐藤義孝さんは2年前に入所した型職人。16、7年前からシルバーや革の制作を始めましたが、それに納得がいかず、その後木彫りを行うようになりました。小さいものの制作に目をつけ、現在のようなかたちの制作を12年前から始めたそうです。ネットオークションで販売し人気になり、それからミニチュア昆虫のオーダーが頻繁に入るように。家で原型をつくっており、ピアワッセでは主に型抜きを行っているといいます。
(文:高橋創一)