じょうほうスウプ

学校における表現活動、3カ所を巡って(その2)

宮城県立支援学校女川高等学園

訪問日
2017年2月6日(月)
所在地
宮城県牡鹿郡女川町浦宿浜字十二神60-3

仙台市立としては唯一の支援学校である仙台市立鶴谷特別支援学校での芸術活動の見学、意見交換。
平成28年4月に開校したばかりで、宮城県内全域を通学区とし、3年間の全寮制を特徴とした宮城県立支援学校女川高等学園での美術活動の様子。
支援学校の生徒と普通学校の生徒がともに総合文化部で活動している石巻市立青葉中学校の現在。
それぞれに異なる特徴を持った、3校を訪問してのレポート。

宮城県の北東部、自然豊かな牡鹿半島のつけね、高台にある平成28年4月に開校したばかりの学校。仙台市からは高速道路を利用し車で90分、石巻市市街地からは車で30分程度。宮城県内全域を通学区とし、3年間の全寮制(敷地内に寄宿舎併設)を特徴の一つとした、高等部のみの知的障害児対象の特別支援学校。宮城県では、高等学園は県南の岩沼市と県北の小牛田町に設置されているため、女川・石巻圏域からの入学生が多いかと尋ねたところ、生徒は県内全域から集まっており、卒業後は地元に戻り就職する場合も多いが、適した就職先があれば女川、石巻圏域での就職を望む生徒・保護者もいるということでした。

美術の時間は週に一回、全生徒26人(現在は一期生のみ)が参加し、学習指導要領に基づいた授業を行っています。「美術の表現をとおして、人に何かを伝えることができれば良いと考えています。卒業して就職し、自分の考えを相手に伝えることを意識して身につけさせたいと思っている」と相澤先生は述べました。

訪問日には、女川町教育委員会の方をゲストアーティストに招き、地域のおまつり用の紙袋ランタンの制作に取り組んでいました。学校では全生徒がタブレット端末を持っており、このときもランタンの模様に施す図像を、ウェブサイトで検索しそれを模写する生徒もいました。今回の取り組みに関して、相澤先生は「自分たちの作品を認めてもらうだけではなく、震災経験を風化させない側面もあると思います。美術、アート活動で地域貢献ができたらいいなと思っていますが、いまのところまだそんなにできていないのが実態です」と話していました。制作された紙袋ランタンは、2017年2月16日(木)~19日(日)までの期間、女川まちなか交流館シーパルピア女川で開催される「女川紙袋(紙袋ランタン)あったかぽん!冬物語」で展示。「自分の描いた作品をいろんな人にみてもらい、褒めてもらう、認めてもらう経験は自己肯定感を育む意味でも大事だと思います。より多くの人に作品をみてもらいたい」と熱く語っていました。

(学校3カ所の文:佐々木えりな/柴崎由美子/高橋創一)

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