じょうほうスウプ

Tシャツ事業、挑戦2年目のいま

社会福祉法人わらしべ舎

西多賀工房

訪問日
2017年1月11日(水)
所在地
宮城県仙台市太白区

アートクラブ活動は施設職員から、必要だとの声があがったことにより、2010年からスタート。
2015年度から設けられたTシャツ部門では、「福祉施設以外でも売れるものをつくろう」というコンセプトの元、利用者によるイラスト、絵画をプリントしたオリジナルTシャツを制作。
ただし、制作時間の確保やデザイン面などで課題を抱えている。

社会福祉法人わらしべ舎は、障害のある人の社会参加と自立を目指す指定多機能型事業所(生活介護・就労継続支援B型)。生活介護事業としては、手工芸品製造などを担当する「エコ班」、就労継続支援B型事業としては、カレーの製造や敷地内にあるカレーショップでの接客などを行う「カレー班」、粉石けん、液体石けんの製造を担う「石けん班」といった活動に取り組んでいます。

生活介護事業では、2015年度から新しく「Tシャツ部門」を設け、Tシャツの製造、販売業務を行っています。今回、その担当者である堀川夏季さんにお話をうかがいました。

「Tシャツにプリントできるプリンターを5年リースで導入し、生地だけを仕入れて、アイロンがけなども利用者が担当し、内部で製造を行っています。デザインは毎週土曜日にデザインの得意なボランティアさんがいるので力をかりています。方針としては、なるべく施設の内部で製造するということ。でも、一番の課題、悩みは私自身がこれまで福祉の勉強しかしてこなかったこともあり、イラスト、絵画を描いてくれる利用者みんなの作品をうまくデザインできていないということです。また、Tシャツ部門のメンバーは週5回活動できるのですが、他のエコ班の他、カレー班、石けん班のメンバーはなかなか絵を描いてもらう時間が取れないです。描ける人がいてもコンスタントに描くのは難しい状況ですね」。

福祉施設以外でも売れるものをつくろうというのがコンセプト。ものづくりのクオリティを上げることが、いまの課題だと堀川さんは言います。専用のアトリエスペースもないため、どうしても芸術文化活動が余暇的な位置づけになってしまう現在。今後の展開を考えると、体制を見直したいと言います。他の施設と情報交換する機会としては、一般社団法人アート・インクルージョンのスタッフが月1回来所して一緒に活動をしたり、相談するなどしているそうです。

アートクラブ活動は、施設内部から必要性の声があがり、2010年からスタート。アート・インクルージョンは2年前から関わるようになりました。その後、施設の商品の売上をアップさせることを目的として、Tシャツ部門が設けられました。また、2015年には他法人と連携を取り、株式会社コーエンのTシャツに利用者2人のデザインが採用されました。

製造した商品の販売は、わらしべ舎のウェブサイトのほか、カレーショップ桜蔵(さくら)、仙台駅前商業施設内の店舗ゆめの森で行っており、また母校販売として支援学校での販売を行っています。創作環境としては、画材は全て施設側で用意し、今日はこの画材を使いましょう、というように手順をつくっているとのこと。

実際に芸術文化活動を行っている加藤晴彦さん、松本綾子さん、角濱英一さんにもお話を伺いました。加藤さんは柄やパターン、電車に関する絵を描くことが多くあります。松本さんは、生き物を描くのが好きで、画材はなんでも使います。サイズは大小問わず、普段はA4サイズの紙に描くことが多いそう。自由に描いてもらうときもあるし、これを描いてくださいとお願いすることもあるそうです。角濱さんは色鉛筆を使うことが多く、可愛らしい絵が特徴。動物をモチーフにしたイラストのシリーズ「角濱zoo」を展開しています。

(文:高橋創一)

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