じょうほうスウプ

芸術文化活動を始めたばかりの施設の現在

岩沼市障害者地域就労支援センター

ひまわりホーム

訪問日
2017年1月6日(金)
所在地
宮城県岩沼市

2016年夏から受託作業の少なくなる月末に、あき時間を利用して行っている芸術文化活動。
活動の時間を取ることが難しい状況の中でも、美術講師が毎月1回指導のために来所し、絵画、イラスト制作、写真撮影などに取り組む。ニット作品を制作している利用者は、展示会入選後に口数が多くなり、笑顔も見せるようになるなどの変化が。

公益社団法人青年海外協力協会(JOCA)が2016年4月から指定管理をうけ持つこととなった、ひまわりホーム。施設として活動を行うきっかけは、多夢多夢舎中山工房(仙台市)のことを知り、トワルのワークショップに参加したことといいます。そこで多夢多夢舎のスタッフ坂部認さんと会い、自分たちもアート活動をしたい旨を伝えたところ、多夢多夢舎で使用している米袋を譲りうけました。その米袋に絵を描くことを始めたのが、2016年7月、利用者14人でのスタートです。

それ以降、受託作業が少なくなる月末に、そのあき時間を利用し、アート活動を行っています。画材としては、譲りうけたB5茶封筒を再利用し、アクリル絵の具など施設内にあるものを利用します。しかし、いまは全然そういった時間を取ることが難しいと国中さんはいいます。

絵画、イラストのほか、散策を兼ねた写真撮影を行いました。7月には山、11月には仙台市郊外の秋保地域の紅葉に利用者3人を連れていったといいます。3人のうち2人は、これがきっかけで初めてデジタルカメラに触ったそうです。撮影後は岩沼市の写真館にデータを渡し、気に入った写真一枚を選んで、自分でお金を払ってプリントアウト。それを家に持ち帰ってもらっています。暖かくなってきたら、松島でも撮影会を行う予定です。

障害のある人たちによるとっておきの音楽祭には施設ではなく、個人として参加した人もいます。2人ほど、歌(合唱)を行ったそうです。施設として音楽活動を行うことにも興味があるけれども、なかなかハードルが高い状況です。

10月からは、特定非営利活動法人アートワークショップすんぷちょに依頼をし、美術講師が毎月1回、2時間ほど指導に来ています。その月ごとに何をするのか相談し、先月(12月)は障害のある人たちの作品を展示するピュア・ハーツアート展への作品を準備しました。

現在、美術活動で講師の指導をうけているのが13人、ニット作品をつくっているのが1人。ニット作品をつくっている人は、かぎ針でのオリジナル、独特な編み方が特徴です。また、ドラゴンボールや仮面ライダーの絵を描くのが好きな男性は自宅でも描くことが多く、作品集のように描いたものをまとめて見せてくれたこともあるそう。普段は仕事がメインなので、月に1回開かれるアート活動の時間に制作に集中しています。

講師の指導で変化したと思うことはありますか、と尋ねると「この施設には利用者の方が44人いますが、その中から選ばれた13人なので、ちょっと特別な感じを持っていると思います。展示会に作品を出すよというと、とっても喜んでいるので、励みになっていると感じますね。かぎ針編みを行う方は自閉症で、これまで会話がほとんどなかったのですが、入選後は口数が多くなって笑顔もみせるようになって、変わったなと思います」と応えてくれました。

公募展への応募は、全国障害者アート公募展「みんな北斎」への応募が初めてのこと。今後も、どんどん出展していきたいと意気込みを語ります。また、ほかの施設への見学も積極的に行いたいといいます。「なかなかほかの人の作品をみる機会がないので、山元町、ポラリスでの牧さんの個展に利用者さんたちを連れてみに行きました。そのときアートスタッフの刈田路代さんに初めてお会いしたのですが、その場で一緒に絵を描きませんかと言ってくれて、いい体験になりました。これから拠点間交流、コラボレーションをしていきたいですね」。

普段は食堂スペースを利用して作品制作を行っているため、敷地内に自前のアトリエスペースが欲しいといいます。また、「公募展への出展を増やしていきたいけれども、情報を調べる時間がなかなか取れないので、そういった情報をまとめて取得できるベースがあるととてもうれしいです」と語ってくれました。

(文:高橋創一)

バナー:障害者芸術文化活動普及支援事業(厚生労働省)
バナー:ABLE ART JAPAN
バナー:Able Art Company