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障害者芸術活動支援センター@宮城

お知らせ

《 SOUPの研修2021 》報告レポート「第 1 回 アートと工賃支給規程」

2021.08.04    報告

令和3年度宮城県障害者芸術文化活動支援業務

SOUP の研修 2021


「第 1 回 アートと工賃支給規程」 報告




 日時:7 月 21 日(水) 16:00~18:00(受付 15:45)
 場所:仙台市市民活動サポートセンター研修室5
 〒980-0811 仙台市青葉区一番町 4-1-3
 オンライン:ZOOM *対面とオンライン併用で実施
 講師:三輪竜郎(Good Job!センター香芝副センター長) *オンラインから参加


【テーマ】


アートを仕事につなげる活動が活発化していますが、利用者と作品(著作物)に関する規程は整備していますか? アート商品の生産・流通を得意とする Good Job!センター香芝(奈良県)は、コロナ禍でも 3000 万の売上を達成し 利用者の工賃アップをはかっています。この事業所の「工賃支給規程」をもとに具体的な視点を学びましょう。すでに利用者と約束事を決めている団体も、今から準備する団体も、この機会をご活用ください。

【参加者】


会場:7名(5団体・進行運営含)
オンライン:16名(12団体・講師含) 合計23名
宮城県からは仙台市、多賀城市、石巻市、登米市。県外からは奈良県。

【当日の流れ】


15:45 開場および Zoom 開設
16:00-16:05 主旨説明、マイク・画像・記録についての諸連絡、講師紹介
16:05‐16:55 講師より、動画とスライドによる団体紹介
16:55‐17:00 休憩
17:00-17:55 アートと工賃支給規程~その事例の解説と質疑応答
17:55‐18:00 連絡、情報交流

【配布物】


「Good Job!センター香芝ワークショップ給料支給規程」

【概要】


講師より、当日の朝に撮影された、Good Job!センター香芝の動画が紹介された。南館といわれるセンターの外観、1階エントランスを入ってすぐのカフェ、受付エリア、3Dプリンターのある工房などを巡り、階段をのぼり2階にあがって、パソコン入力エリア、商品倉庫、多彩な商品が陳列されたショップなどをみることができた。さらに、北館といわれるもうひとつの拠点では、自由創作を行うアトリエをみる。あちこちに働く利用者がおり、活動の幅を伺うことができる。
次に、障害者福祉サービス事業所としての全体像の紹介。就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業、生活介護事業の3つの多機能型事業所であり、定員40名で一日あたり30名の利用者が参加していることが紹介された。

活動の柱は、1.製造、2.流通、3.カフェ、4.アトリエ、5.コミュニティカレッジ、6.その他。
Good Job!センターが、なぜデジタル技術を活用した活動をするに至ったのか。創造性を生かした仕事づくり、職員が徹夜しない創作の方法の見直し、企業と連携した製作対応などの事例が紹介される。

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(右上写真が講師 三輪竜郎さん)

加えて、流通業務として、倉庫の商品ラインナップ、商品のピッキング、ウェブサイトやSNSを活用した広報活動など、モノづくりを取り巻くさまざまなメンバーの仕事の創出についても紹介があった。障害のある利用者によるアート作品、イラストレーション、協働制作、などでどのような活動をしているかも紹介された。
参加者のなかには、そもそも「アートを通じて仕事をつくる」ということの全体像のイメージがつかないという申込み動機もあったため、そこに応える豊富な事例が紹介されたのではないだろうか。

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次に、「Good Job!センター香芝ワークショップ給料支給規程」をもとに、研修のメインテーマである「アートと工賃支給規程」の関係を探りながら、講師による解説が加えられた。
※矢印(→)は、議論のハイライトです。

(給料の種類)
メンバーの給料は、時間給、諸手当及び賞与とする。
諸手当は、公演手当、講演手当、製作手当、作品手当、特別手当、出張手当、通勤手当とする。
→ 諸手当のなかに、固有の創作や業務の評価が反映されていた。

(時間給の変更及びサービスの変更)
B 型事業、生活介護事業での時間給の変更又は A 型事業への移行は、年に2回(基本的には、5月と11月)、メンバーとの振り返りを経てから、メンバープログラム運営委員会で決定する。
→ 事業の類型の選択や時間給の変更は、つねに利用者とスタッフ側の合意形成のなかで行われていたしそれが重視されていた。

(諸手当)
(1)公演手当(語り・パフォーマンス)
(2)講演手当
(3)製作手当(絵画・陶芸・書・手織り・ミクストメディア)
ア デザイン使用
イ アートレンタル
ウ 出展料
エ 個人受注
(4)作品手当(絵画・陶芸・書・手織り・ミクストメディア)
(5)特別手当
ア センター長が指定する商品の販売
イ 年間を通じて特別な働きがあった場合
(6)出張手当
ア 近畿圏内(奈良県を省く)への出張(日帰り)
イ 近畿圏外への出張(日帰り)
ウ 宿泊を伴う出張 交通費実費、宿泊費実費、食事補助
(7)通勤手当 A 型事業を利用するメンバーには、通勤に要する費用の半額を支給
→ 個々の手当に、詳細な配分割合が記載されていた。

【質疑応答(一部)】


質問:B型と生活介護の類型や、工賃の階級があることで、利用者同士の関係性に影響がないのか気になりました。
回答:影響はある。利用者同志がコミュニケーションをとり、工賃の互いの内容を知ることがあるため。また、利用者からスタッフへ、工賃への質問や疑問が寄せられる場合もあり、そこは誠実に理由を説明している。

質問:個人受注とは具体的にどのようなことか。
回答:バザーの際、自宅で趣味で作成している人形をもってきて販売することがあった。その売上に対しての手当給などがこれにあたる。

質問:人によって生産量、仕事の質が違う場合にどのように評価をしているのか。
回答:Good Job!センターとしても明快な回答はない。千差万別で、一人ひとりに寄り添って納得解をだしていくことが重要だと考えている。

質問:自由創作をする人と、例えばはりこづくりや流通などを担当する人は、本人のニーズとセンターのニーズとをどうマッチングさせているのか。
回答:実際のセンターに訪問する際は、自由創作への期待や意識が大きい。しかしアートだけで食べていくには難しい側面もあるため、自由創作の時間は入り口として保障しながら、現実的に厳しいときには、きちんと支援員が説明して生産活動に参加してもらうことをしている。逆におもしろい事例として、絵を描きたいと利用をはじめたが、のちにお菓子づくりが得意なことを発見して、現在では本人も希望のもとに100%カフェの仕事に従事している人もいる。

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会場とオンライン会場をつなぎ一緒にディスカッションが行われた

【事後アンケート】


Q.研修のなかでもっとも大きかった学びの視点はどんなことでしたか。
・自社だけでなく、地域とのつながりや社会資源の使い方がとても上手でまた会社としてのブランディイングがすばらしく団体としての好循環ができていると思いました。
・2021年5月1日に開所したばかりのため、全てが学びでした。アートを収益化するに至る手法、実際の活動が知れたこと、工賃の設定の仕方が大変参考になり、今後の事業
所運営の参考にさせていただきたいと思いました。
・流通とその流れ等、その中から生まれる仕事の多様さ、量の多さを知る頃ができ嬉しく思います。工賃規定等学べる点や参考になる点も多くあり、内容の深い研修になりました。このような機会を設けて頂き有難うございました。
・アートの仕事をどのように つくっているか、また具体的な工賃の基準が学びになった。工賃設定です。
・アート作品の具体的な手当ての内訳が知れて勉強になった。
・支給規程以外の部分では、工賃額に段階を設けることでステップアップしていく機会をつくっていることが印象に残りました。

Q.研修での学びを具体的に生かそうと考えていることがあればおしえてください。
・短期視点では、工賃規程の見直しとスタッフとの共有。中長期視点では、会社としていいスタッフを採用するためのブランディングと運営戦略をたてる(デザイナーやエンジニア、マーケ人材などの人たちがここで働きたいとういう会社になることがものづくり、販路拡大につながると思いました)
・工賃に階級をつけることが、仕事への意欲向上に高めることにできないか検討してみたい。そのための評価システムと合意形成の仕組みづくり。
・工賃規定の整備、ソーシャルビレッジ仙台におけるアートとITを掛け合わせた事業所運営の確立を、数年かけて頑張りたい。まずは土台作りから。
・流通という面での工程を事業所のなかでどう生かせるか、何が必要かを考えていきたいと思います。
・工賃の支払い方と、それぞれ得意な作業を振り分け誰をも活かすこと
・今年の4月より事業を開始し、今後、アートに関しての就労も展開していく予定です。そのため、工賃設定や諸手当など参考になることが多々あり活かしていけたらと思っています。
・今後の事業展開に置いて、アートやデジタル系のイラスト作品をどのように展開していくか、考える参考にさせていただきます。


レポート:柴崎由美子


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